ブログ「言葉美術館」

■あなたはどこにいるの? 「エリュアール詩集」■

2018/01/20

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 原稿に疲れると、椅子にだらしなく背をもたれさせ、手を伸ばせばすぐ届くところにある「エリュアール詩集」をぱらぱらと繰る。

このところの気分は、どうもエリュアール。

とても共鳴する。

***

あなたはどこにいるの? 

 

壁にそってたくさんあたしの夢をみたので あなたには このあたしが見え あたしの声がきこえるのだ

 

そして あなたは きっと あたしのこころを変えたいのでしょう

 

あたしの瞳のおくから あたしをひきぬきたいのでしょう

*** 


 こんな世界にどっぷりと浸り、一日を過ごすこともできそうだ。

 けれど、私にはやりたいことが他にもある。


 数か月前、仕事する場所を移した。デスクの前の壁に、手当たり次第に、気に入ったカードをぺたぺたと貼った。

 そうだ。まだまだあんなこともこんなことも書きたい、という気分になる。

 新人物往来社の担当編集者さんから「シャネル、7刷です」のお電話をいただく。嬉しい。

 そしてエリュアール詩集に、また目を落とす。こんどは次の2行が飛び込んでくる。

***

そして あなたのくちびるのやさしさによって 

 

あたしのくちびるを つよめてください

***

 

 この箇所にラインをしたのは、もう20年も前なのに、同じように胸をうたれている。

 美しい表現、美しい言葉の力を再確認し、詩集を閉じる。

 今日はよい天気だった。日中、5分くらい庭に出てみて、「あたたかいなあ」と感動した。いくつかのお誘いのメールを思い出して、初夏のおしゃれをして、出かけたくなる。

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