■あなたはどこにいるの? 「エリュアール詩集」■
2018/01/20
原稿に疲れると、椅子にだらしなく背をもたれさせ、手を伸ばせばすぐ届くところにある「エリュアール詩集」をぱらぱらと繰る。
このところの気分は、どうもエリュアール。
とても共鳴する。
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あなたはどこにいるの?
壁にそってたくさんあたしの夢をみたので あなたには このあたしが見え あたしの声がきこえるのだ
そして あなたは きっと あたしのこころを変えたいのでしょう
あたしの瞳のおくから あたしをひきぬきたいのでしょう
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こんな世界にどっぷりと浸り、一日を過ごすこともできそうだ。
けれど、私にはやりたいことが他にもある。
数か月前、仕事する場所を移した。デスクの前の壁に、手当たり次第に、気に入ったカードをぺたぺたと貼った。
そうだ。まだまだあんなこともこんなことも書きたい、という気分になる。
新人物往来社の担当編集者さんから「シャネル、7刷です」のお電話をいただく。嬉しい。
そしてエリュアール詩集に、また目を落とす。こんどは次の2行が飛び込んでくる。
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そして あなたのくちびるのやさしさによって
あたしのくちびるを つよめてください
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この箇所にラインをしたのは、もう20年も前なのに、同じように胸をうたれている。
美しい表現、美しい言葉の力を再確認し、詩集を閉じる。
今日はよい天気だった。日中、5分くらい庭に出てみて、「あたたかいなあ」と感動した。いくつかのお誘いのメールを思い出して、初夏のおしゃれをして、出かけたくなる。