■■あなたにとってのゆりかごは■■
2016/06/28
敬愛する中田耕治先生の「文学講座」、月に一度の数時間は、いまの私にとってこのうえなく重要な時間となっている。
先生のお話はひとことも聞きもらしたくないと思うからメモもとれない。
テキストはあるけれど、先生は原稿なしでお話をする。
あらかじめ紙に用意された言葉と、その時間その場所で生まれた言葉との違いを、いつも思い知らされる。私のトークなどあまりに薄っぺらい。
今月は「吉行淳之介」だった。メモもとれない、と言ったばかりだけれど、あまりにも強烈に突き刺さってきて、ペンを走らせてしまった。吉行淳之介について先生がおっしゃった言葉。
「一種の極限状態を生きなければならなかった文学者」
もうひとつ。
「文学的生命をかけてのノン」
強烈なのに、刺激的なのに、自分の怠慢さを指摘されているというのに、不思議と私はゆりかごを思った。
泣きそうになってしまった。
土曜の午後の吉祥寺。あまやかでなつかしい体験だった。
あなたにとって、ゆりかごのイメージはどんなですか。たずねてまわりたい気分。