ブログ「言葉美術館」

■そこにある自由■

2016/06/28

 

110216_123201_3おのれの運命をうけいれ、メチエの要求するところに素直にしたがう。

そこに自由がある」(ルイ・ジュヴェ)

メチエというフランス語は、単純に訳せば職業となるようだけど、もうちょっと深く意味をはかれば美術家とか文学者がもつ、そのひと特有の表現方法、となるようだ。

私はジュヴェの言葉の「メチエ」には「創作のいのち」という訳をあてたいな。

こういうのは翻訳者には向いていないのだろうけれど。

なんだかそういう声が聞こえてくる。

そしてジュヴェのこの言葉は、いろんな場面で活きてくる。

いま私が直面している、自分自身の生き方を問われるような日々のなかで、とても活きてくる。

ジュヴェのいう「自由」のある世界のなかで生きたい。

そのためになにかを壊したとしても、私はきっと、その世界のなかでなければ、ほんとうに生きることができない。

誰かが歌う歌のなかや、テレビドラマのなかや、映画のなか、小説のなかなどで愛や大切な何かを知った気になって疑似体験して自分をごまかして生きることができない。

そんなことを考えると突然、くるしくなって胸が重たくなったりするけれども、さっき、軽井沢の木々のなか、車を走らせたら、まだ深く残る雪の道、何事もなかったかのようにきれいになっている道路があって、おんなじ軽井沢でも、こんなに違う、なんてことを思って、空を見上げたら美しい青空が遠くまで広がっていた。うれしい青空だった。

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