◎Tango ブログ「言葉美術館」

◾️心の動き、を考えた日

 

ーー言葉を選ぶということ、「選者」であるということ、その才能をもっと自覚してもいいんじゃないですか。

 ーーそうですね、私は、どんな言葉を選ぶか、それも表現のひとつだと思っています。

 このやりとりだけで、私は、今日ここに来てよかった、と思えた。

 先日のTBSラジオ「好奇心プラス」にお呼びくださった「イー・エー・ユー株式会社」の栗田さんと社長の林安二さんとのお食事はほんとうに楽しかった。

 もう20年くらい前、私がまだ本も出していないころ、「アートサロン時間旅行」というカルチャーサロンのようなものの運営に必死で、講談社「FRaU フラウ」で美術エッセイの連載を始めたころ、写真家ハービー山口さんがJ-WAVEでもっていらしたラジオ番組への出演依頼があった。

 あれはほんとうに嬉しかった。その番組を立ち上げたのが林さんだった。

 そんなご縁があって、昨日の食事会があったわけだけれど、会話が楽しくて、そしてお食事が、ほんとうに美味しくて、ワインも美味しくて、3時間があっという間だった。

 アルゼンチンタンゴに溺れ中なんです、今秋ブエノスアイレスに行く予定です、と話した私に、林さんから驚きの発言が。彼は「バンドネオン」という楽器そのものに興味を抱き、バンドネオンがたどった歴史に興味を抱き、一時期、深く調べていらした。

 この会話からスタートした食事会。現代美術、ジャンヌ・モローの素晴らしさについて、シャネルのどこがすごいか、などなど、話はつきることはなかった。

 そしてお料理が、私の好みに、ほぼ完全に一致していて、私はこのお店のファンとなった。

「リストランテ イル バンビナッチョ」。いたずらっ子、っていう意味だって。

 イタリアンの懐石料理みたいな、美しくてそして量もほどほどで、こだわりの食材。

  私がこんなに好きになるところって、あんまりない。

  一度にたくさん食べられないから食事会、しかもご招待となると、ぜんぶ食べなきゃっ、という勝手なプレッシャーを感じているので、その日はスムージーだけにして、おなかをすかせた状態で出かけたのだけれど、無理をせずにひとつも残さずに食べられたことが、すべてを物語っていると思う。

 すてきな時間をくださったことに感謝をしてタクシーに乗った。

 今夜はタンゴサロン・ロカで踊りたかった。ちょうどミロンガの日だったから。ここのところの不眠は、もしかしたらタンゴ不足が原因かも、と思っていたこともあり。

 22時近くなっていたけれど、最後の1時間でも踊りたかった。

 ちょうどほかのお客様が早めにお帰りになったこともあり、22時半から、たけし先生と奥様のあやちゃんと3人になった。

 たけし先生のリードが比類なきものであることは私のなかで確信となっているから、先生と踊れたことはもちろん嬉しい。

 そしてあやちゃんのリードもすてき。どんどんよくなっている。何がそんなによくなっているんだろう、って考えて、おふたりにはそのとき「エスコートされている感じがとっても心地いいんだと思います」って伝えたけれど、あれからまた考えて、同じことなんだけど、「とってもたいせつにされている」感じがする、そこがたまらないのだと思った。

 そんなおふたりを独占して、タンゴを踊れるなんて、なんて贅沢な時間なんだろう。

 美味しい食事、心はずむ会話、そして贅沢なタンゴタイム。

 タンゴを含め、色んなことをセーブしているここ最近のことを考え直そう、と思った1日だった。

 そう、私は、時間を確保すれば進む仕事をしているわけではない。

 心の動き。これが肝要なのだ。

 たまに忘れちゃって、とにかく仕事のための時間をあけようとしてひとりこもって、結局、仕事が進まなくなり悶々とする。

 でも、ときどき、昨日のようなことがあって、あ、これじゃ、だめなんだ、って気づいて。

 そんなことを繰り返してゆくのだろうけれど、でも、昨日、気づいたよ、ってことを今日は書きとめておきたかった。

◾️「リストランテ イル バンビナッチョ」はこちら。シェフの福田さん、たしかに、いたずらっ子なかんじでした。器もぜんぶ福田さんがお作りになっているの。それがまた好み。

http://www.bambinaccio.com/concept.html

◾️タンゴサロン・ロカはこちら。

http://tangoargentino.jp/

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