■■くちびる■■
2016/06/10
こころやさしい編集者さんから、キュートな指輪をいただいた。5月発売予定の本のゲラが、今日、お昼頃、送られてきて、そこにさりげなく入っていた。
私っぽいと思って購入してくださって、
「ずっと持ち歩いていたので、袋がよれよれでごめんなさい」
とメモがあった。
嬉しかったなあ。誕生日とかそういうのでなしに、くちびるの指輪を見て、私を思い出してくださったこと、そしてそれを私に渡そうと思ってくださったこと。
そのきもちの流れを想像するだけで、こころあたたかくなる。
くちびるの散文がどこかノートにあるはず、と探した。あったあった。
「あえかなくちびる」
あなたのあえかなくちびる
やわらかくうすく色づいて あいまいで
それをふくんだなら消えてしまいそうで
わたしはかなしくなる
それはあなたの まいごのたましい
わたしはあなたのくちびるに くちびるを 寄せる
まいごの あなたを わたしのくちびるに とどめるために
消えないために 消さないために
あなたに居場所を 教えるために
昨夜は、長いおつきあいの編集者さんから「生きていますかー」とのお電話いただいた。
ブログに思いっきり「なんとかしてくれ」ってこと書いているから、しょうがなくお電話してきてくださったのだろうけれど、嬉しかったな。
ちかぢか次に書く本の相談をしましょう、ってことになった。
そして今日の夕刻は、新しくお仕事をする編集者さんから、送った原稿についての感想のお電話をいただいた。
15本予定のエッセイを、一本ずつ、お送りしているのだけど、すぐにご連絡をくださる。そしてしっかり読み込んでいなければ不可能な言葉をくださる。
ほんとうに嬉しい。
編集者さんは、最初の読者であり、もっとも厳しい読者でもある。
私は編集者さんを感動させることができたら、たぶん、彼、彼女たちはそんなふうに思っていないだろうけど、たおれるほどに深い安堵と書くことの喜びを得る。
いろんな人に、支えられている。前に進める。
絵はクノップフの「赤い唇」。