ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

◎59本目『ランデヴー』


【あらすじ】
駆け出しの女優ニナ(ジュリエット・ビノシュ)は、家探しのため訪れた不動産屋でポロ(ヴァデック・スタンチャック)と出会います。
ニナに一目惚れをしたポロは家を探しつつも、しばらく自分のアパートへ来るように提案。
しかし、同居人のカンタン(ランベール・ウィルソン)は、ニナを受け入れず…。


 

ビノシュの『ランデヴ―』って、結構有名ですよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
うん。この作品でセザール賞主演女優賞にノミネートされてる。
カンヌでは監督賞を受賞しているみたいですね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
特典映像にあったカンタン役のランベール・ウィルソンのインタビューで、「ビノシュはこの作品によって映画祭に招かれて、そこで受けた賛辞で自分の才能と価値に気付いて、次作から作品をちゃんと選んで出演している」と話してた。だからこれがビノシュのブレイクのきっかけとなった作品であることはたしかね。
アンドレ・テシネが撮ったというのも大きいですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
この作品の後くらいに、レオス・カラックスの『汚れた血』に出演してブレイクしていく。監督やスタッフがいいから、すごくいい映画に違いないと思っていた作品なの。
ビノシュは、この時の脚本を担当しているオリヴィエ・アサイヤスと、いくつかの映画を一緒に作っているのよね。
最近一緒に観た作品だと、『冬時間のパリ』。あとは『夏時間の庭』『アクトレス 女たちの舞台』がありますね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
この映画ね、ビノシュが体当たりの演技をしたと言われているのが分かる。ばんばん脱いでいるもの。
陰毛どアップですもんね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
すごかった。
ビノシュは割と陰毛を出すイメージがあります。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
『存在の耐えられない軽さ』でも出していると思う。
今回もたくさん脱いでるし、若いからぷるんぷるんで、ムチムチしてかわいい。エロティシズムというよりは、健康美に溢れていて生命力を感じる。
そこまで出すのが衝撃というのも、みんなが注目した理由かもしれませんね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
でも私、この映画のよさがよく分からなかったのよ、りきちゃん。
どう心を動かせばよかったのかしら。
(笑)。
でも…私も上手く入り込めなかったです。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
わあ、良かったぁ。

路子
路子
まず、女優業に対するニナの野心や熱意、そして成功したいという気持ちがよく見えなかった。だけど、実は虎視眈々と狙っているように見える時もあってね。

舞台をすっぽかしたりもしますしね。そもそも脇役のペーペーみたいな女優役だけれども、上手くなろうとか、努力しよう、という風には見えないですよね。楽して大役をゲットできたらぐらいの感覚ですかね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
後半では、トランティニャン、出たーって感じ(笑)。

(ジャン=ルイ・トランティニャンに対しては、『ヘルバスター 避暑地の異常な夜』の変なイメージがつきまとう私たち)

見た目からすると『男と女Ⅱ』の頃ぐらいですかね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうね。
トランティニャンが出てくると、不安な気持ちになるのは何故だろう(笑)。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
知り合いの困ったおじさんが登場、みたいな気持ちになっちゃうね(笑)。
火葬場のシーンは印象的でしたよ。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
ニナがカンタンの棺の上にお花を投げ込むところね。
一瞬でしたが、あのシーンはとても良かったです。『ナチュラルウーマン』の時の火葬シーンも良かったですが、やっぱり死を前にした時の儚さみたいなものに美しさを感じるんですかね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
りきちゃんとは違って、かなしいことに瑣末なところに目がいってしまいました。
カンタンがいきなり変な登場の仕方をするでしょう。
急にお前が欲しいと言ったり、剃刀を自分の首に押し当てながらニナを脅したりして、とてもクレイジー。
その剃刀のシーンで、ニナが吐いた後、すぐにふたりがキスをするでしょう?
吐いてすぐにキスしたのはわざと?
うへぇーって思っちゃいますよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そんなことを気にするのは、吐かなくても、食事のあとなんかに、キスの前に歯磨きをしなくてもいいのかと、つっこんでしまうレベルと同じ?…。
それとも二ナの全てが欲しいという、カンタンの倒錯の趣味を表しているのかしら。
でもカンタンからは、二ナの全てを欲しがっているようには見えないですよね。ニナよりも、事故で失った彼女をずっと思い続けているような気がします。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
カンタンはかつて恋人を失い、自暴自棄で生きていて、死にたいと思っている人物。そんな時に興味を持てるようなニナが現れ、ちょっかいを出すことで死ぬきっかけを探していたのかしら。
殴られるシーンでも、抵抗せずに殴られっぱなし。殺して欲しいぐらいに見えた。
人生を投げやりに生きているように見えますよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうそう。もうどうでもいいと思っている。
殴られて何も抵抗しないカンタンの姿を見て、ニナは彼を受け入れるようになりますよね。
ニナが「完璧なものには惹かれない」と言っているシーンがありますが、殴られてボコボコにされたカンタンを見て、俺すごいだろ的な彼の雰囲気の中に、ある不器用さを感じ取り、受け入れるようになったのかなって思いました。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
壊れた人なんだ、って感じ取ったのかもしれないね。

路子
路子
ポロがニナに一目ぼれしたというのはよく分かる。でも、カンタンがニナに目を付けたのも一目ぼれ?
家に泊まらせないと言いつつ、すぐに宿泊先のホテルに乗り込んできますもんね…。
登場人物がみんなぶっ飛んでる。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
ぶっ飛んでいるし、だからかな、観ている自分が置いていかれている感が満載…。

路子
路子
カンタンがいきなり自信たっぷりに追いかけてくるから、ニナとカンタンは前に関係があったのかと思ってしまったくらい。
でも初対面でしょう?  わからなすぎる…。

路子
路子
登場人物の中で一番不気味だったのはポロ。ゾワゾワした。
彼はストーカー気質ですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そう、一番怖いパターン。
カンタンみたいな人は分かりやすいのよ。こいつ危ないから気を付けようと思える。ポロみたいな人は表に感情を出さないから怖い。
いい人に見えますもんね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
はじめからニナに惚れてムラムラしているのに、それを隠しながら親切心を装ってる。
ニナは生き抜く中で身体を交換条件にしてきたことが多いから、見返りを要求しないポロに好意を持っていたのに、いきなりガッバァーってニナに襲いかかるなんて、それはないわよーって思う(笑)。
(笑)。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そのあたりのデリカシーのなさが本当に嫌。襲いかかることで、ニナも凄く傷ついているのがよく分かる。
ニナとポロがセックスをするシーンで、ニナの顔にペッペペッペ唾を吐きかけながらキスしているのだって、そういうのが似合うのはカンタンであって、お前じゃない、って言いたくなる!
たしかに(笑)。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
ポロは本質的に恐ろしいものを持っているのよ。
最後にニナの散歩に一晩付き合っていたから、優しいところもあるじゃないと、思っていたけれど、ニナにもらった公演のチケットを捨てているということは、もう会うこともないということでしょう?  そのあたりも嫌な感じ。
ポロはニナを諦めたんですか?
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
諦めたというよりは、気が済んだのかもしれない。
セックスをしたから?
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
それもあるだろうけれど…。
他の男が云々とか、朝帰りしやがってみたいに言うくらいの激しさを持っているのに。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
俺とは寝たくないのか、ってイジイジしていたのに。
ベッドで裸になって待っていたりしていたのに!
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
あっはっは!(笑)。
そのシーンを観て、『哀しみのトリスターナ』の初夜をルンルンしながら待つ老人を思い出した。それくらい哀れに見えた。

路子
路子
カンタンが亡くなった後に、カンタンの事故で亡くなった恋人の父親(ジャン=ルイ・トランティニャン)から、「ポロのことを愛しているのか?」と聞かれるでしょう?
ニナは「愛しているのはカンタン」と、言うけれど、そんなにカンタンのことを愛していたと思う?
具体的な感情が描かれていないから、本当に愛していたかはわからないですよね。あまりにも急な展開でしたし。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
深く知り合う前にカンタンは亡くなってしまったものね。
1回セックスをしただけでしょう?
しかも、ふたりのところにやってきたポロに、ニナとセックスをさせようとしますよね。寝ているニナのお尻をペロンって出して。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そう。はっきりさせようぜ、みたいにね。
そしてすぐその後にカンタンが亡くなる。出会ってからの期間が本当に短い。ニナは短期間でカンタンに強烈に惹かれたの?
強烈な負のオーラに惹かれるみたいなのってあるじゃないですか。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
破滅願望?
そうですね。そういうものに強く惹かれたんですかね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そういう感じね。ふぅ。

~今回の映画~
『ランデヴー』 1985年 フランス
監督:アンドレ・テシネ
出演:ジュリエット・ビノシュ/ランベール・ウィルソン/ヴァデック・スタンチャック/ジャン=ルイ・トランティンニャン

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間