○女性芸術家8「シュザンヌ・ヴァラドン」
■シュザンヌ・ヴァラドン(1865.9~1938.4)
*「自画像」1883年(18歳)これが処女作といわれています。
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「芸術倶楽部」の連載でヴァラドンをとりあげたのですが、いま読み返してみると、あまりにもだめなので、『美男子美術館』で書いたヴァラドンの記事にすることにしました。
息子のユトリロの話が多いですけれど、ヴァラドンについてはこのときかなりお勉強したので、こちらを残したく。
ただし、本から書き写したのではなく、編集者さんに送った最終原稿のコピーです。最終的な手直しをして本になっているので、その前の原稿ということ、若干、甘いかもしれません。書き写すの大変なんだもん(怠け者)。お許しください。
『美男子美術館』、忘れられた存在ですが、私はわりと好きです。いつか復刊させたいなあ。
さて、それではシュザンヌ・ヴァラドンとユトリロのお話を。
*ヴァラドン『モーリス・ユトリロの肖像』1921年(個人蔵)
パレットと、何本もの絵筆をもち、こちらをじっと見つめる強い視線の殿方。どうやら自宅でリラックスしながら絵を描いているもよう。リラックスモードだけれど、それでも強いまなざしに画家の自信がやどっていて、こちらは少し緊張して画家を見つめます。
画家は、ユトリロ。パリ、白いモンマルトルの風景が有名な、日本でもたいへん人気のある画家です。
「ええ?! ユトリロですか? この時代の美男子とりあげるなら、モディリアーニでしょ!」という声が聞こえてくるのは気のせいでしょうか。いいえ、気のせいではありません。けれども、そりゃあ美男子の代名詞モディに比べればかすむかもしれないけれど、ユトリロってなかなかいい男なのです。それに、その人生もまた、なかなか面白い。彼はユニークな人生を生きた人です。
この肖像画を描いたのは、ユトリロの母親、シュザンヌ・ヴァラドン。有名な女流画家です。ユトリロのユニークな境遇は、そのほとんどがこの母親によって作られたと言っていいでしょう。