ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

◎1本目 『焼け石に水』 前編

2020/02/06


【あらすじ】
街でレオポルド(ベルナール・ジロドー)に声をかけられ、家について来たフランツ(マリック・ジディ)。
いつのまにか同棲し始めますが、ある日、フランツの彼女アナ(リュディヴィーヌ・サニエ)や、レオポルドのかつての恋人ヴェラ(アンナ・レヴィン)が訪ねてきて…。

路子
路子
映画は最近観てる?
最近観たのは、フランソワ・オゾン監督の『焼け石に水』。
これは何回か観ていてDVDでも持っているんですけど、改めて観てみようと思って久々に観ました。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
いつ頃の?
これは日本でオゾンが流行るちょっと前くらいなので。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
じゃあかなり前ね。2000年フランス。
じゃあ結構前ですね。
これは高校時代の時に教わっていた国語の女教師に教えてもらった映画で。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
国語の女教師(笑)。好きなのか、好きじゃないのかよくわからない関係ね。
割と変人な先生。教員室の机の上の参考文献の中にフリークスの本が並んでいるようなちょっと変わっている先生だったんですよ。その当時、オゾン監督の『8人の女たち』を観て好きだったっていう話をしたら、変な踊りをする面白い映画があるよって教わったのがその『焼け石に水』でした。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
じゃあこれも変な踊りするの?

変な踊りします。ちょうどDVDパッケージが、変な踊りをしているところなんですけれども。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
面白そう。『8人の女たち』、あれだけの大女優に歌わせて踊らせてっていう、それが面白い。
変な踊りの割には、今こうやって改めて観ると、じっとりとした映画で、凄い良かった。
これを言ってしまうとネタバレになってしまうけれど…。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
言わないで(笑)。
言わないですが(笑)。今迄観た映画の中で一番好きなそのタイプのシーンがあるんです。
りきマルソー
りきマルソー

―後日、路子さんが「焼け石に水」を鑑賞―

路子
路子
2000年のでしょ? オゾンが何歳ぐらいの時のなのかしら。
若々しい時ですよね。フランス映画祭で本人を見た時に、あぁ老けたわ…って凄い思って。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
いつ頃?
去年か一昨年。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
来ていたのね。

『彼は秘密の女ともだち』の時です。来た時に、「François Ozon Je t'aime(フランソワ・オゾン ジュテーム)」というハート型のメッセージカードを作って、渡しました。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
嘘!?(笑)。じゃあ会ったの?

サイン会があって。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
その時の団長は誰だったの?
その時は誰だったかな。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
あんまり記憶にない?りきちゃんが好きな女優さんではない?
多分。(なんて言いましたが、私の大好きな女優、エマニュエル・ドゥヴォスが団長でした。)
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
これは初期の作品でしょう?
そうです。最近のって割と洗練されて、ちょっと毒が抜けちゃった感じはあるけれど。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
これは処女作にある、皆があるという、いろんなものが詰め込まれてる感じがするわね。
しかも毒づいてる。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
若者特有の。
棘というか。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そう、ちょっと投げやりな感じはあるわね。
りきちゃんが私にネタバレになるから言わないと言っていたけれど、今思うと踊ってる割にはじっとりとしていたわね。
踊りはこれ一場面だけだものね。ここだけちょっと、ふっ…てほっとする。
でもレオポルドがすぐに音楽止めちゃうのよね。

路子
路子
じめっとしていると言っていたけれど、じめどころじゃないわね。
まず、全編通してオゾンのまなざしが感じられる。彼は本当にこういうのを美しいと思ってるのね。彼らのヌードとか、姿・形とかを映像にぎゅうって撮ってるじゃない?
ブリーフ姿とかね、絶対トランクスじゃない。

たしかに(笑)。そうですね。他の作品を観てもそうですね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
ねっ。そうだね。この映画でもトランクス姿は一度も無かった。しかも、上着を着て、下はブリーフ、というのが多分好きなのよね。どうかしら?(笑)。
そうですね。コートとか(笑)。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
あとフランツがキッチンにいる時も、赤だったかしら? 鮮やかな色の長袖のセーターを着て。
ブリーフ姿で。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そう。寒くないのかしら? 暖房がどうのこうのと、文句を言ったりしているから、多分そんなにポカポカなおうちじゃないはずなの。だけど、敢えてブリーフ姿で立たせるオゾン。
ふふふふ。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
あとは最初、ぷって笑っちゃったシーンがあったの。レオポルドがフランツを誘うじゃない?誘ってお互い手の内を明かさない一番最初のシーン。
こちらから見れば明確なのに、何で僕ついて来たんだろうみたいに言ったりして。その中で、レオポルドが何かの拍子に立ち上がって、画面が股間のアップになるシーン覚えてる? 別にそこが盛り上がってるとかじゃないんだけど、「股間!」みたいな。
好き、オゾン監督。『スイミング・プール』でも、股間を下から舐めるようなドアップシーンが入ってました。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
あぁ、やっぱり好きなのね。あの映像って、電車の中とかでも私自身が。
そうですね。座ってて。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
ちょうどくる。私も最近特に気を付けてるの(笑)。
(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
まだ昔だったら、私に見られても嬉しいと思ってくれるかもしれないけれど、今見ていたら本当怖い人になっちゃう。危ない人にならないように目を逸らすようにしているけれど。でも顔を上げれば目線がそこにいくじゃない?
 
路子
路子
目を逸らすことが出来ない映画だなと最初から思って、この2人はこの後どうなるんだろうと最初から惹き込まれた。

路子
路子
最初のセックスの場面は、敢えて描かない。
バスタブの中でフランツが、身体を反転させて、腕をバスタブにかける感じで煙草を吸う。その時に凄い良い笑顔をするのよね。

路子
路子
満ち足りた!

満ち足りた!
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
本当に満ち足りた幸せそうな笑顔だった。これは本当に満ち足りたセックス特有の笑顔。だから、知ってるな監督って思った。あれは他の種類の幸せの笑顔じゃないのよね。物凄く良い時間を過ごしたのが、あの笑顔だけでわかるわね。
印象的なシーンですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
急に終わった、という感じになるのよね。
そうそうそう。でも、あくる朝みたいな雰囲気で、一人楽しく、ああ良かったな、と思いながら過ごしているのが一瞬で分かりますよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
見事よね。あの時にその笑顔を見て、これは凄い面白い映画なんだと思ったの。

路子
路子
この時はレオポルドが誘ってて、フランツが誘われてる方だから優位でしょ? でも1回セックスしたら…。

逆転するんですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
一気に逆転。男と女でも、男と男でも一緒なのよね。
フランツの彼女 アナが来た時に、それと同じ事をしますよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうなの!そうなの、そうなの。彼が残酷になるのよね。
レオポルドにされていることを、フランツはアナにしかえすんですよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうなの。それで思ったのが、やっぱり組み合わせ。
一人の人間の中に色々な多様性というものがあり、色々な自分がいるのだけれど、誰と一緒かにより、自分のどの部分が出るか、というのがある。
フランツはレオポルドといる時はSMの関係でいえばM的。でも、アナといると逆なのよね。
同じ事をしている、と言うよりは、両方を持ってる。

路子
路子
リュディヴィーヌ・サニエは、この時ぐらいがデビューなのかしら? もっと前から使われてるの? オゾン監督は彼女のことが好きよね。

オゾンのミューズと言われてますね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
脱ぎっぷりがいいわよね(笑)。
うん。どるんっ!っていう感じ(笑)。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
もう何か全然エロティックじゃないという。全然エロスを感じない。
『8人の女たち』の時とは全然違いますよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
違う!最初分からなかったもの。似てるなって思って。

別人みたい。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
レオポルドの態度は全員に対してそんなに変わらないのよね。 誰に対しても、変わらないで君臨している。 こういうタイプの人をオゾンはどう思っているのかしら。 好きなの? 自分がそうなの? そうされたいの? オゾンは誰に一番自分を投影しているの?
私は意外とヴェラに重きを置いているような気がしているんです。一番私が好きな人物。
周りを翻弄する男の映画って、この間観た『ミューズアカデミー』もそうですけど、他の男性の監督が撮るそういう男の人って、イラっとする。でも、オゾン監督が撮ると、皮肉っぽさが前面に出ているようで凄く好きなんですよ。
その違いって何でしょうね。オゾンも同じ事を思ってるんですかね。 こういう男はちょっと…みたいな。
りきマルソー
りきマルソー

 

路子
路子
ああ、あのステレオタイプの『ミューズアカデミー』の教授みたいな人でしょ?
その二人の違いは何かしらね。 これ、両方の映画を観ていない人にとってはちんぷんかんぷんだと思うけれど(笑)。

路子
路子
『ミューズアカデミー』の教授は、ダンテの神曲からベアトリーチェからずっとミューズを研究してるくせに、周りに一応ミューズを侍らしていて、何人かは夢中になっておバカさんになっちゃってるんだけど、観てる側からすると底が浅い人って感じがする。
『焼け石に水』のレオポルドも、同じように周りを翻弄するタイプ。 翻弄するタイプで決して良い人でもなく、勝手なんだけど、イラっとしない感じ。 その違いは何だろうね。

レオポルドの方が、貫き通す感じはありますよね。 『ミューズアカデミー」』の教授は若干ブレる。 レオポルドは自我を突き通すというか。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
やっぱり、こっちの方が戯画化されているのかしらね。 『ミューズアカデミー』の方が現実っぽい。
でも『焼け石に水』は何らかの役割を担わされた役柄だから、やっぱりそこにはオゾンが目的を持って、何かを表現したいがために配置した役なんだと思う。
だから多分、ブレないっていう役なのかしらね。 だって、フランツが死んだ時も全然動揺しなかったもんね。
跨ぎますからね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
跨いでたっけ!?
跨ぎますからね、死体を。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
「出世前の男を跨いだら出世できない」と言うけとれど、死んじゃったから良いのかしら。物語の中の王子様じゃないけれど、キャラが確定されていると感じるわね。

~今回の映画~
『焼け石に水』 2000年3月 フランス
監督:フランソワ・オゾン
出演:ベルナール・ジロドー/マリック・ジディ/リュディヴィーヌ・サニエ/アンナ・トムソン

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間