◆第10回<9/12「写真家とミューズ~森栄喜(もりえいき)」>
2016/06/27
9月の第2土曜日、路子サロンのテーマは
「写真家とミューズ~森栄喜(もりえいき)」
です。
「写真家とミューズ」。
私の小説『女神 ミューズ』をお読みくださった方、
あるいは、私の処女作『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』
(文庫タイトルは『美神(ミューズ)の恋』)の「キキ」の章をお読みくださった方は、
このテーマが現在の私の原点であることをご存じかと思います。
このあたりから少し離れたところで生きておりましたところ、
私が勝手にソウルメイトだと信じている、「リキ」さんから、
『intimacy』
というタイトルの写真集を教えていただきました。
『intimacy』。
私はこの写真集に大きな衝撃を受けました。
打ちのめされるみたいに、抱えてうずくまりたくなるみたいに、なりました。
心底、感動したのです。
そこにあるのは、性別こそ、「写真家は男性、モデルも男性」ではあったけれど、
そして私の小説では、「写真家は男性、モデルは女性」という設定ではあったけれど、
まさに、『女神 ミューズ』で描いたあの世界そのものだったからです。
これはもちろん私が勝手に感じたことですけれども、
この写真集を私に教えてくださったリキさんもまた、私の小説『女神 ミューズ』
を読んだとき、『intimacy』を想ったとおっしゃったのです。
私は、このものすごい写真集を出版した写真家のこと、彼のミューズのことを
知りたいと思いました。
森栄喜(もり えいき)。
写真家自身が愛する人との一年間を撮った写真集『intimacy』(ナナクロ社、2013年)で、木村伊兵衛写真賞を受賞、注目を集めます。
森栄喜は、「ゲイ」という、社会ではまだまだ異質とされているものを、自身の生き方、そして作品を通して広めていきたいと思っている人であり、その彼の活動、作品、そして文章、すべてをこよなく愛する「リキさん」に、私は「路子サロンで森栄喜のことをお話してください」とお願いしました。
というわけで、森栄喜の写真集から、どんなふうに話が広がるのか……。
私はもちろん、原点の「キキ」と写真家マン・レイについてお話しますし、
熱く敬愛する小説家、中山可穂についてもきっと話してしまうでしょう。
『軽井沢夫人』のなかで夫人が言っているように、中山可穂の恋愛小説は、
性別が女性と女性であるという設定ではあるけれど、ほんとうに、そこを切れば、
血が流れてきそうなそんな小説なのです。
ちょっと力を入れればつぶしてしまいそうな、儚くて繊細な感情。
あるいは、自分ではない誰かと徹底的に美しいものを創造したいという願い。
そんな色彩が流れるサロンにしたいと思っています。
ご興味ある方のご参加をお待ちしています。