◆香水の記憶、過去の恋愛◆2010.3.1
2020/04/22
特集記事を調べていて、保存グループに入っている昔の雑誌をひっかきまわしていたら、「エルジャポン 2009年7月号」のなかの、見開き2ページに目がとまりました。
それは、
――おしゃれ達人に聞く「初めての香り」と「ステディな香り」――
というタイトルで、6人の女性がとりあげられていました。
「私にとっては過去の恋愛と香りというのがとても密接に関係しているの。ロードゥ・イッセイ、ジャン・パトゥとかは特に懐かしい。そのときのトキメキや愛情をリアルに思い出してしまうわね(笑)」(キャサリン・マランドリーノ)
「香りはとてもパーソナルなものよね。その香りで特定の人や場所を思い出すもの。私の心にある香りの記憶も大切にしていきたいわ」(トリー・バーチ)
そうなのです。
私も街を歩いていて、ある香りに、思わずふりむいてしまうことがあります。
私がいま愛用しているのは、シャネルの「COCO」。
ごく最近、わけあって(大したわけではないのですが)、香水を変えました。
そして、この香り、とても気に入っています。
現代の世界三大パフューマー(調香師)の一人であるジャック・ボルジュが創り出した香水(あとの二人はジャック・キャバリエ、ソフィア・グロスマン)。
ジャック・ボルジュはシャネルの専属で、「エゴイスト」「アリュール」なども創っています。
シャネル社の創業者ココ・シャネルは詩人ポール・ヴァレリーの
「香水で仕上げをしない女に未来はない」
という言葉を気に入っていましたが、ジャック・ボルジュはその精神を引き継ぎつつ、次のように言っています。
「フレグランスは、ファッションをあらわす詩であり、ファッションの心を静かに映し出す隠れた鏡なのです」。
ファッションについての興味、ある程度のこだわりが、もしあったならば(なければ別です)、やはり最後の仕上げとして身にまとう香水は、欠かせないものだと思います。
全身素敵にコーディネイトしている女性のそばに立ち、何も香らないとき、私はひとりでこっそりと落胆するのです。