◆ファッションの名言◆2009.12.28
2020/04/22
「いろんな色を使えば使うほど女たちは醜くなる」と言ったシャネル、「過剰のなかから、洗練は生まれない」と言ったヴァレンティノ。
シンプルのなかに美がある、とふたりとも言っているわけです。
みがひきしまるような言葉です。
ファッションにまつわる名言は数限りなくありますが、「ヴォーグ・ニッポン12月号」に、興味深い記事がありました。
オックスフォード大学出版局が出版する「引用句辞典」(70年の伝統あり)というものがあります。
ここには、孔子からオスカー・ワイルドなど偉人たちの名言が収録されていて、私はこれをとても欲しいと今思っている(翻訳されたものはないのでしょうか)のですが、今回発売された最新刊にはオバマ大統領の言葉など2万の引用句が追加されたそうです。
そしてその2万のうちのひとつに、パリス・ヒルトンの「名言」も入っているのだそうです。
「演技やモデルの才能はなくとも、ただ目立つことを貫くという新しい形の努力でセレブとなったパリス・ヒルトン」(注:私が言っているのではありません。記事の引用です)
この彼女の名言とは、次の通り。
「どこへ行くときでも可愛く着飾って。人生は短すぎて全部なんて着られないんだから」
……。
「Dress cute wherever you go」部分には賛成なのですが、後半部分は、多くの種類のものをね! といった意味にもとれて、反対です。
「そりゃああなたは、それで生きているわけですからよいのでしょうけれども、そうでないひとたちは、いかに良質なものを丁寧に着るか、といったことのほうが絶対たいせつなのだと思います」
と意見したくなってしまいます。……こういうのって正論っぽくってすごくつまらない、と我ながら思います。
それにしてもパリス・ヒルトンの「名言」、シャネルやヴァレンティノの言葉と比べるとぜんぜん身がひきしまらないのがポイントです。
それでもなんとなく「あー、そうだよね!」と「うっかり」思わせる匂いもあり、それが名言の条件ということなのでしょうか。
そんなわけで、2009年ラストのコラムとなりました。
私のサイトを経由して、メールをくださった読者のみなさま。とっても嬉しかったです。ありがとうございました。