MODEな軽井沢 特別な物語

◆VOCEの特集のエナジー◆2009.11.9

2020/04/22

「VOCE」(ボーチェ)という名の女性誌。
「ビューティー」を追求したこの雑誌を私は創刊時から注目しています。

なぜなら、いまどきのメイクを追求した軽快で華やかな記事のなかに、ぴかりと光る記事が、必ずあるからです。
ぴかりと光る……これはとっても主観的なものなわけで、私が「ぴかりと光る」と感じるのは、アートだったり哲学だったり、そういうのにまばゆさを感じるわけですから、VOCEには、そういう記事が、必ず潜んでいると言いたいのです。

この雑誌は、後ろ側から読ませる「ボーチェ イット!」というコーナーがあります。
コンセプトは「世界を見回し、世界を語る!」。

いま発売中の12月号のテーマは「叶える力」。
「世紀の女たち」をフィーチャーし、彼女たちの哲学、生き方から、今を生きる私たちへのヒントをピックアップしようという企画。
これが面白い。

白洲正子、キキ、田中絹代、ビリー・ホリデイ、ジョルジュ・サンド、ジェーン・バーキンなどなど、いろんな世界の女性たちが紹介されています。

宇野千代も「うそつき力」で登場。
ちょっと紹介します。
98歳で「私、何だか死なないような気がするんですよ」を刊行したこの作家を、「その途方もない前向きさは、妄想と思い込みの賜物かもしれない。恋愛でも、うそつき力を発揮し、理想の愛に酔った」
と分析。
東郷青児と結ばれた直後、「好きな人の好みに合わせるのが得意な私は、さっそく髪を切ってパーマをかけ、パリの貴婦人のような洋服を着ました」と書いた彼女は、好きな相手にはうっとうしいくらいに尽くしてしまう人だったようです。
……。

同じ髪を切るでも、ココ・シャネルは、「なぜ切ったのですか?」と聞かれて、「邪魔だったからよ」と応えています。ずいぶん違うものです。

私は宇野千代とシャネルの間をいったりきたりする人生を歩んでいるようです。

さて。

……この特集のなかで、見開き2ページで「ココ・シャネルの嫌悪力」があります。

インタビュアーの方に、この、フランスが生んだ20世紀最大のデザイナーの、
「エナジーを、特徴的なエナジーをひとつ、あげるとしたら? 〇〇力と表現できる言葉はなんでしょう?」と問われ、すんなり「嫌悪力」という言葉が出てきました。

「あたしは確かな嫌悪の精神をもっている」
と言ったシャネル。
ここに私は、偉大なデザイナーのたましいがあるように、感じるのです。

-MODEな軽井沢, 特別な物語