◆欲望のハンドバッグ◆2009.7.13
2020/04/22
先日、「それ」を、六本木で目撃してしまいました。
前回、「それ」を目撃したのは銀座、その前はまた六本木、その前は……。
「それ」というのは、「カップルで、男性が女性のバッグをもっている」という現象です。
誤解のないよう、もうちょっと詳細に言えば、
「男性が、(おそらく「キミに箸より重いものを持たせたくない」という一時的な優しさから)、連れの女性が持っていたバッグを「持ってあげている」
という現象です。荷物みたいに。
この現象については、ほかの作品で別の角度から切っていて、それでもまだ足りなく、ここで書こうとしている私は、よほど「それ」が嫌いなのだと思います。
私自身は、高価なバッグのコレクターではないし(なれないし)、でもバッグも靴も、服も、大好きだから、自分の好みのものだけを身につけたい。
この気概だけは強烈にあります。
だから、出かけるときは、頭の先から足の先まで(自分なりに)コーディネイトし、玄関のドアを開けるわけです。
「いつも同じカッコだと思われるかな」と案じつつも、
「今日の気分はどうしても黒いミニドレスに黒い靴なのよね」
となればバッグに色を持ってくることが、すっごく重要になってくるわけで、それはマニキュアの色と合わせて決めたりします。
紫だったり赤だったりゴールドだったりと。
誰も気づかないとしても、それは自分の楽しみでありプライドであるのです。
ですから、隣を歩く殿方が私のバッグをとりあげて持ってしまったら、烈火のごとく怒るでしょう。
私にとってそれは「スカートだけ脱がされた状態で歩く」あるいは「靴を脱がされた状態で歩く」のと同じことだからです。
そんなこんなで、「それ」現象を「すごく不思議だ!」と思いながら、東京駅の書店で雑誌を購入しました。
知り合いから「〇〇ページ、ぜったい読んでね」と頼まれていた「プレシャス8月号」、帰りの新幹線で、プレシャスなひとときを楽しみました。
久々に購入したファッション雑誌だったので、すべてが新鮮。
なかでも、私の欲望をわしづかみにしてくれたのが、ヴァレンティノのハンドバッグでした。
リザードの『ペタル』バッグ
リザードって「トカゲ」です。ペタルって「花びら」
トカゲでつくった花びらのかたちのバッグ。
って訳すとなんだかおどろおどろしいです。
ヴァレンチノの「ペタル」シリーズは以前より、「好みかも……」とチェックはしていましたが、今回のこれはノックアウト。
「マキアージュレッド」なる深紅の美しさが……。ああ。
もともと、クラシックなワンハンドルのバッグが好きなのです。
なのに、なかなか売っていなくて、けれど ↓ このバッグ(これもヴァレンチノ)の説明のところに、このような形のが「復活」と書かれていたので、期待したいです。
と、最終の新幹線のなかで、欲望ぎらつかせて、あっという間の一時間。
しみじみと思ったのは、このようなバッグを持ったひとで「それ」をする人はいないだろうな、ということです。
もちろん「それ」をする人たちは、「こだわり」がとっても薄いのでしょう。
嫌われること覚悟でいえば、服装をはじめ、歩き方、姿勢、ヘアスタイル……全体のたたずまいも美しくない。
そして、さらに、その人たちは、自分自身にとって「大切な」「とても気に入っている」バッグを持っていないのでしょう。
価格、ブランドは関係ないのです。
たとえ5千円のバッグであろうとも、自分の美意識にかなっていれば、それは「大切な」「とても気に入っている」となりうるし、持つ人を輝かせるのだと、私は信じています。