ブログ「言葉美術館」

■引っ越しから1年。マダガスカル・ジャスミンと光と葉緑素

 

 雨の日のお花屋さんは美しい。店先に並べられた鉢植えの花も濡れて、目を奪われる。

 昨日も雨のなかの買い物の帰り、白い花が目に飛びこんできて、私に買って買ってと言っているように見えて、購入した。

 マダガスカル・ジャスミンという名、その響きにも惹かれた。

 中目黒のマンションの9階に引っ越してからちょうど1年が経った。五本木のビルと比べて、ほんとうにコンパクトだけれど、私はここがとても気に入っている。

 

 

 キッチンの窓からの風景がいちばん好きで、ここからは歩道橋とお気に入りのスーパーマーケットが見える。歩道橋から見上げるとこの窓が見える。歩道橋を歩く娘に手をふると、それも見える。歩道橋ではよく撮影が行われている。

 この窓のところにグリーンを置いていて、このコーナーの風景もいちばん好き。

 

 この1年、コロナ禍のなか、出版社ブルーモーメントを立ち上げたり(←娘が)、いろんなことがあった。基本的に、以前よりも家で過ごすことが多く、食事も家ですることがほとんど。生活スタイルの変化で娘とふたりで食事をとることがほとんどとなった。料理を楽しむ感覚が復活してきている。

 このところは、がんがん仕事をしています、というのでもないけれど、毎日書き、考え、本を読んでいる。そして掃除をしたり料理をしたりする時間、焦りがない。その時間もその時間で楽しんでいるようなかんじ。

 どん底落ちこみ状態と比べれば、そんなにがんがん仕事をしていなくても、精神がこのくらいの状態だったらよしとしよう、となるのかもしれない。

 マダガスカル・ジャスミンの、濃くいきいきとした緑の葉。

 シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』の一文を思い出した。この本、私には難しくて理解できているとはとてもじゃないけど言えない。でも、ぱらぱらっと胸に響く言葉が散りばめられてる。

 思い出した一文はこれ。

「唯一の治癒薬は、光を養分に変えうる一種の葉緑素だ。」 

 外部の光を感じるということ。内部に葉緑素があることを忘れないこと。

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