ブログ「言葉美術館」

■自宅缶詰の日々

 

 1月12日に「廃人状態です」という趣旨のことを書いてから3週間。

 あのあとからほとんど毎日自宅缶詰状態が続いている。廃人になっているひまはなかったのでした。

 生活はかたまってやってくる。

 って、メイ・サートンは言ったけれど、どういうことか、突然に今年中に出版する本の企画がまとまってやってきた。

 すべて挑戦したいテーマであり、しかもタイミングが大事、ということもあり、可能ならば書き下ろしで今年中に4冊出したいところ。

 いや、そのうちの1冊は「再生版」なのだが、読み直してみて、全部書き直したくなった。いまはその締切に追われている。

 毎日が、原稿を進めることを中心に動く。原稿を書いているとき以外は、掃除洗濯食事の用意、最低限の家事以外は何もしていない。

 週末だけタンゴを踊る。これがないとエネルギーが枯渇してしまうから。

 夜中にはっと目覚めて、ある言葉、フレーズを思いつく。ナイトテーブルの上のノートにメモするけれど、よれよれで、朝読もうとしてもほとんど読めない。

 もしかしたらいままでで、もっともハードな1年になるかもしれない。

 原稿に没頭していると、新刊の売れ行きに、もやもやする時間が減るからそれは嬉しいことだ。

 もやもや。これはいつだってもれなくついてくるもの。

 そんななか、SNSでときおり、嬉しい感想を見かけると泣きそうになる。

「大人の美学」は、言葉シリーズや生き方シリーズとは違う色彩を私のなかでもっているから。

 哲学的、それでいて文学的…

 涙とともに読んだ…

 知性の章はなんども読み返したい…

 などなど。

 10人にも満たない人たちの感想であっても、読者とのつながりを感じる。届くべきひとに届いている、って感じる。書いてよかった、って思える。

 写真は娘が買ってきたスターチス。

 疲れきって、お茶をいれようとキッチンに立ち、窓外の夜を背景に咲く花をぼんやりと見つめていたら、その美しい色彩にほろり。美しい、って思える瞬間にほろり。

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