ブログ「言葉美術館」

◆そのひとの最後の言葉

2016/06/21

16世紀フランスの哲学者モンテーニュの『エセー』にこんな言葉がある。

「人間が死ぬときのことほど、つまり、彼らが死ぬときにどんな言葉を言い、どんな顔をし、どんな態度をとったかということくらい、好んで聞きたいと思うものはない」

「他人の生涯を判断するとき、常に、その最後がどんなであったかを見る」

私もその人の最後に興味がとてもある。

その人生の最終段階で「わが生涯に悔いなしっ」みたいに威張るひととは仲良くなれない。客観的な視線がない様子が嫌だ。

「悔いだらけだよ」というひとのほうが好き。「それでも、それなりに精一杯生きたよ、このへんで許してね(誰に許してもらうのかは曖昧でオッケー)、ばいばい」みたいなのが共感できる。

そのひとが死の間際に何を思ったのか、とても興味がある。最後に誰の名を呼んだのか、それは口に出せる名前だったのか、出せない名前だったのか、そういうことをとても知りたい。

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