◆その中間の意義
2016/06/21
曽野綾子「私を変えた聖書の言葉」は、曽野綾子が私と同じくらいの年齢のときに書いた本。
比べるのが図々しいと言われればそれまでだけど、ほんとうに同じくらいの年月を生きてきた人の言葉、物の見方なのか! と悲しくなるほどに深い内容だ。
つくづく、年齢って実年齢ではなく経験年齢なのだと思う。
何年生きたかではない、どんな生き方をしたかなのだ。
何度か読み返している本だけど、今回はこの箇所に立ち止まった。
*****
しかし、いずれにせよ、現実をしっかりと見つめれば、即刻肯定でも、即刻否定でもないその中間があり得ることは当然である。
そしてその重く苦しい時間が大人の「愛」のあかしになる。
人生の含みをうまみをわかる人間に、私はなりたい
*****
以前読んだときは、確かにその通りなんだけど、「中間」はなんだかもやもやとしていて、濁っているかんじもして、受け入れがたい、と感じていた。
でも時間が経過して、私は「中間」の意義を知り始めたように思う。
私の場合は、これを色彩でとらえている。
白と黒の間には無限の色彩があり、そこに広がる色彩こそが「即刻肯定でも、即刻否定でもないその中間」なのだろう。
……続く文章の、「重く苦しい時間」までは、わかる。でもまだ大人の「愛」についてはわからないまま。