ブログ「言葉美術館」

◆生まれてくれてwelcome

2016/06/21

Y__いま読んでいる本のなかで「歴史は単純には繰り返さない」という言葉に出会って、考えている。

いったん、素通りしようかと思ったけれど、ん? とわずかなひっかかりに立ち止まって、それからじっと考えこむような、そんなかんじ。

歴史は繰り返す。

これが根本のところにずっとあったから、世の中の動きに関してもどこかわかったような顔をして受け止めるし、自分自身の歴史でも、ああ、また繰り返しているという場面を幾度も経験してきたように思っていた。

でも、たしかに、そう、それはけっして単純な繰り返しではなかった。以前に経験したことが現在の自分の判断に影響を与えないはずはない。

私は自分のしてきたことにきちんと向き合って、自分の過去の経験と向き合って、それを心に留め置くことが、ときどきすごくつらいけれど、必要なことだと思っている。

それを留め置かないと、忘れてしまうと、同じ過ちを、それこそ「単純に」繰り返す。

だから忘れないでいること、そして自分が経験していないことについては「知る」ということはとても大切なことなのだと、いまは非常な危機感をもって感じている。

歴史を知らないと、きちんと理解するように努力しないと、同じ過ちを単純に繰り返してしまう。だとしたら、知らないってことは罪。知ろうとしないことはもっと罪。

ところで、自分の「判断」が良かった悪かった、ってどこでそれこそ「判断」するのだろう。

私の場合は自分自身の心身の健康状態かな。それと、周囲の大切な人たちの心身の健康状態。私はこれで判断しているように思う。

いま、部屋には中島みゆきの「誕生」が流れている。

生まれてくれて、Welcome。

いままでに、こころからそんなふうに思えるひとは何人くらいいただろう、そんなふうに思ってくれたひとはどのくらいいただろう、そんなことを考える2月17日の朝は東京にもすこし雪が見えた。

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