■恋の想い「アルマ・マーラー」フランソワーズ・ジルー■
2016/05/22
「僕には心の底からわかっている。もし僕にふさわしく、また僕を芸術家にすることのできる人間がいるとしたら、それは君だけだ」
何度もいろんなところで書いてきた稀代の妖婦、アルマ・マーラーの男たちのひとり、詩人のフランツ・ヴェルフェルのセリフ。アルマは男たち(それもほとんど天才たち)からこのようなセリフを言われることに慣れている。相手の男、ココシュカやマーラーについて、衝撃的なエピソードがいくつもあるが、ヴェルフェルのこのセリフに今回、とくに目がとまったのはなぜか。
恋とはこういうもの、人が人に惹かれるというのは、こういうもの。そういう熱を感じたからかな。
好きな相手から恋焦がれられるのも、もちろんたまらない。けれど、やはり、自分自身がこのような想いを相手に抱いている、という事実ほど、充実をもたらすものは、今の私にとってはないのかもしれない。