■大嘘つき 「カラマーゾフの兄弟」 ドストエフスキー■
2016/05/22
「肝心なのは、嘘を避けることです、いっさいの嘘を、特に自分自身に対する嘘をね。自分の嘘を監視し、毎時毎分それを見つめるようになさい」
他人にはたくさん嘘をついていると自覚してはいても、自分自身への嘘はそれほど多くはない、と思って生活しているはずなのに、このような一文をつきつけられると、考えこんでしまう。
他人はだませても、自分はだませない。
といわれるけれど、果たしてそうなのだろうか。
もちろん、嘘をつくことと、だますことはまったくの同義ではないけれど。
なんだか、他人をだますより、自分をだますことのほうが簡単なように思えてきてしまった。
自己防衛本能や、美への希求があまりにも強いと、自分に嘘をつき、自分をだますことが、わりと簡単にできるのではないか。
そしてその嘘が大きければ大きいほど、それに気づくことが難しくなるのではないかと。
たとえば、一時間、誰かとお茶したとして。自分の発言を「 」つきで拾い出して、分析してみたらどうかな。この発言、嘘の割合は何パーセントみたいなかんじで。
いいえ、それよりも私はやはり誰かに指摘して欲しい。あなたは大嘘つきだと。