■別離 「獄中からの手紙」 ローザ・ルクセンブルク■
2016/05/22
「すべては、苦悩、別離、そして渇望、この三つに帰着するのです。
ひとは、いついかなるときでも、このすべてを甘受せねばなりません。そして、すべてはうるわしく立派なものです。」
獄中にあるローザ(革命家)が、親しい友人ゾフィに宛てた手紙の一部。ゾフィはローザに宛てて、今自分が「ふさぎの虫」にとりつかれていて、「逃れ道もなくもがいて」いることを綴った上で、「どうして何もかもこうなんでございましょう?」と嘆いているらしい。
それに対して、ローザは言う。
「あなたは子供ね。『こういう』のがとりも直さず人生というもの、それは昔からそうときまったものです。」
そして、冒頭に掲げた文章を続ける。
ローザは、こうした知恵について、「頭をひねくって考え出した」のではなく、自分は「ただたんに生まれつきそういうふうになっている」のだと言う。
「これこそが生を享ける上に、唯一無二の正しいあり方であると、わたしは直感を持って感じます。ですからわたしは、いかなる境遇に自分が置かれようと、心底からの幸福感を失うことはありません。」
牢獄にいても、そうなのだ。
夏の終わりの軽井沢の空の色は、晴天だけれど少し薄くて、仕事場の窓からそれを眺めながら、苦悩、別離、渇望、について考える。
渇望ならば、甘受・・・なんとか、できるかもしれない。
苦悩はどうか。・・・難しい。
別離にいたっては、未だ強烈な経験がないために、わからない。だからとてもこわい。未知のものに抱くおそれを、強く感じる。