ブログ「言葉美術館」

■魂の武器 「夜と霧」 フランクル■

2016/05/19

41x13rtcgrlユーモアも自分を見失わないための魂の武器だ

ユーモアとは、知られているように、ほんの数秒間でも、周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために、人間という存在にそなわっているなにかなのだ

なにかの拍子で、突然に深い森の中に迷い込んでしまったとき、「夜と霧」を読みたくなる。

いくつもの箇所にラインが引かれ、書き込みがなされたこの本に、いままで、いくどなぐさめられたことか。

今回は、ユーモアについて述べられた箇所がぐっと胸にしみた。

「ユーモア」。

これはつねに私のなかで、重要度において、高位にランクされているけれど、深い森の中に迷い込んだときには、私の体内に身を潜め、その存在すらないかのようになる。

森の中で迷子。

この気分は、ようするに周囲との距離を失い、状況にうちひしがれていることから生じるのだ

そのときは、わからないけれど、後になっていつもそう思う。

いつもいつも太陽の方を向いて歩いていけたらな、と思うけれど、四十年生きてきて、そうはできないのだから、受け入れるしかない。

ちあきなおみが歌う「夜へ急ぐ人」を聴いて、胸が熱くなる性質なのだから。「かんかん照りの昼は怖い。正体あらわす夜も怖い」って彼女は歌う。

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