■「ドストエフスキーのおもしろさ」 中村健之介■
2016/05/19
「苦しみと涙、それもまた生なのだ」
こういうシンプルな一文に胸をつかれるシーズンにいるということなのだろう。
昨夜、自分の中のある色彩を呼び戻したくて「アナイス・ニンの日記」を読み、その中にアナイスがドフトエフスキーに夢中になったくだりが出てきて、そういえば、私にもいくつかドフトエフスキーの言葉があったな、とノートを開いた。
そうしたら岩波ジュニア新書からの引用がたくさんあって、びっくり。
そうだった。
全体的なことを調べたい時に、図書館で借りてきたのだった。
「カラマーゾフの兄弟」しか、ちゃんと読んでいないのかもしれない。
あーあ。もっと軽やかに生きられたらな、とも思うけれど、それでは絶対に満たされないことも知っている。
じゃあ、もっと明るく? 明るいのはいいかもしれない。そこに重さがあれば。
明るい=軽やか 暗い=重い
でもないか。
このように考え始めて、同じところをぐるぐると回り続ける。
そうして、ふいに、こんな私から離れることなくつきあってくれている人々に対する感謝の気持がいっぱいに胸に広がったりするので。
「ありがとう」
「紅葉燃えるシーズン」から「最後の一葉」状態になっている軽井沢。窓外の空は雲ひとつなく、美しい水色。