ブログ「言葉美術館」

■52歳

 

 5月2日、私は52歳の誕生日をむかえることができた。
 50歳のときには写真展をしたり朗読劇をしたりと大騒ぎしたけれど、51のときもそして今年もしずかに過ごしたかった。たいせつなひとたちと。

 そしてその願いが叶った。生まれてきてくれてありがとう、の言葉。これ以上のプレゼントはない。
 大学2年生になったばかりの娘からは長い手紙。手書きの。私はモノはいらないからカードをちょうだい、と家族には伝えてある。娘からの手紙に私は泣いた。もちろん、ひとりでこっそりと。そこには、私の存在を肯定する言葉が並んでいた。いまの自分があるのは、両親のそれぞれのキャラクターと愛があるからなのだと。「すてきな誉め言葉をもらえるひとにしてくれてありがとう」と。そして私には才能があるから、もっともっとそれが発揮されることを願うという、そういうことが書いてあった。

 日比谷ミッドタウン、ビルボードカフェで流れた、マドンナのアルバム「TRUE BLUE」も特別なものとなった。

 そしてその夜のタンゴの甘美なことときたら。

 私は52歳の誕生日を忘れないだろうと思う。

 思い返しても、胸がえぐられるような記憶はぬぐいきれてはいないけれど、だからこそ、生きのびてきてよかった、と心の底から思えたこの特別な日のことを、私は忘れない。

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