ブログ「言葉美術館」

■「すばらしい墜落」 ハ・ジン(立石光子 訳)■

2016/06/23

110622_215201この短編集は「孤独を耐え忍び、故郷を探す、世界中の無数の人びとの物語」、と作者のハ・ジンは言っていると、訳者あとがきにあった。 訳者の立石光子さんは、この言葉を受けて続ける。 「だとしたら、『すばらしい墜落』は、わたしたちの物語なのかもしれません。これらの心優しくて、ちょっぴりおかしくて、じつに愛おしい人たちの小さなスケッチは、さまざまな悩みや問題を抱えながらも、前に進んでいかなければならないわたしたちの背中をそっと押してくれるでしょう」 久しぶりに、小説を楽しんだ。 言葉が誠意とセンスで選び抜かれていて、読んでいて気持ちがよかった。もちろん内容も。じわじわとおもしろくなってくるかんじで不思議な魅力があった。 これを読み終えたのはずいぶん前なのに、ここに記すのが今になってしまった。 ブログをアップしないでいる理由を自分なりに考えてみた。 ①海外旅行などに行っている。 ②言葉を喪っている。 ③ブログそのものについて疑問を抱いている。 ④執筆中の作品に熱中している。 ⑤クレイジーごっこをしている。 ④だったら歓迎すべきこと。①はもっと歓迎すべきこと。今回の沈黙は③が基本で、たまに④が来るからそのときを逃してはいけないと、そちらに集中していたかんじ。 今夜、ようやく④が形になって、編集者さんに原稿を送ることができた。その原稿のなかで使ったあるひとのセリフが今、頭に浮かんだから書く。 「彼女は自由でいたかった。けれど、ひとりではいられなかった」 今日は暑かった。日傘をさして美容院までの道を歩きながら、東京の夏だ、と胸でつぶやいた。懐かしさがからだにふわっとひろがったのが不思議だった。

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