■■ほめられるのが好き■■
2016/06/11
ソニア・リキエルは「流行にとらわれない、デ・モード、脱流行の服」をつくるとして独特の評価を得ているデザイナー。
彼女は
「美しさの秘訣、仕事のエネルギー源は何ですか?」
と問われて、含み笑いをしながら答えた。
「あなたは、美しい。あなたは、頭がいい。あなたのクリエーションは最高、といつも私をほめたたえ、力づけてくれる男がいたということね」
「私もそうだわ」と思う人ってどのくらいいるのだろう。
嘘でも何でもほめられてほめられてほめられて、どんどんのびてゆく人と、そうじゃなくて、ときどき手厳しい言葉を必要とする人とが、いるように思う。
手厳しい言葉をもらって、そのときは、しゅんとなっても、じわじわとエナジーがわいてくるような。
私はほめられていたい。
ほめられることで実力以上のものが出せるように思う。
私のささやかなクリエーションだって、ほとんどが、それをエナジーにして、なんとか完成させてきた。
これって、サガンの考えにも通ずるようにも思う。
サガンは人は不幸からは何も学ばない。幸福から学ぶ。
とか、いまあなたが不幸であるなら、それは間違っている。幸せであることが正しいのよ。って言っている。
苦労しないとダメとか、試練が与えられないとダメとか、一度人生のどん底を経験しないと一人前にはなれんっ、みたいな意見と正面衝突する考え。
だけど私はサガンを支持したい。
ソニア・リキエルにしてもサガンにしても、創造する人だ。
創造する人って、自己批判能力の高い人が多いんじゃないかな。
さりげなくずうずうしくも、自分自身もそのなかに入れながら、だからこそ、せめて周囲からはほめられたいに違いない、と結論づけよう。
あの、一冊の本のための原稿が完成する間際、私ったら、なんてくだらなくつまらないものを書いたしまったのだろう! みたいになって、全部帳消しにしたい、破り捨てたい、という衝動におそわれるときのことを思い出しながら、そんなことを思った。