■「絶望名人 カフカの人生論」 頭木弘樹 編訳■
2016/06/11
かわいらしい編集者さんにすすめられて、30分後には書店で手にしていた。すごくすごくすごく面白い本。
帯の文句。
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誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしなかった人間の言葉
今までになかった「絶望の名言集」!
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ああ、先に出されちゃったー、と思ったけれど、この本が売れている、と聞いて
「ということは、私の本も、これから売れる可能性があるのかも」と思えてしあわせだった。
昨夜はカフカと絶望名人くらべをひとりする私。くらい。
「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」
私だって、それ、すっごくうまいんだからっ、とひとりでぶつぶつ。
でも今回、なぜか心にとまったのは、カフカの恋人フェリーツェの言葉だった。
カフカの母親はカフカを愛していたけれど、息子がどういう人間なのか、ということについては心を向けなかったことを指摘して、フェリーツェは言う。
「どんな愛情も、理解がまったく欠けていたら、なんの役にも立ちません」
これは親子関係はもちろん、恋愛、友情、仕事、すべてにおいて言えることで、私は、このことにきづこうともしない鈍感な人たちの耳元でフェリーツェの言葉を叫んでまわりたい衝動にかられた。
だってそういう人たちに限って、あんまり苦労しないで世の中をわたっているように思えるから。
あーあ。今朝は機嫌が悪いかな。外はどんより曇ってる。軽井沢の濃霧のなかを歩きたい。