■■最後の切り札■■
2016/06/11
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「私は、あなたを愛する」という言葉は大変貴重な言葉です。
日本の過去の伝統の中にこの言葉がなかったことはむしろ奥ゆかしい想いがするくらいです。
この言葉は自分の生涯を賭けた最後の切り札として使わなければいけないと思います。
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劇作家の内村直也の言葉。1
951年にある雑誌に書かれた。外でその言葉を小さなノートに書いたから、いつものノートに貼り付けておいた。今日、ほかの情報を探していて、ふと目をとめて、意識を注いだ。
本や音楽、あらゆるところで大人気の「私は、あなたを愛する」という言葉。
内村直也はこれを軽く口にしなかった。
「自分の生涯を賭けた最後の切り札」として大切にしていた、ということだろう。
近々、恋愛に関する本が出版される関係で、恋だの愛だのについて、考えることが多くて、もしかしたら私、すごくかるーく、恋とか愛を扱ってはいないかと、ときどき思い出したように不安になる。
そして、ちょっとたちどまった気分で思うのは、周囲からみたら、おまえかるくあつかいすぎでしょう、と思われたとしても、「自分自身の真実」としては、かるくあつかってはいない、という誇りを失わないでいたい、ということだ。
誰にもその人の真実など見えない。
触れることさえできない。
それが人間が孤独であるということにもつながる。
このところはずっと次の本を書いている。書いて書いて書いてちょっと打ち合わせしてお弁当つくって書いて書いて書いて。そんなかんじの毎日。
絵はレンブラントが愛したヘンドリッキュ。