■新川和江とアダムとイヴ■
2017/02/08
安易に作られた感のある、とある名言集に目を通していたら、ボーヴォワールの言葉に出くわした。
「要するにアダムなんて単なる試作品よ。
イヴを創ってはじめて神は人間というものを完成させたのよ」
煮詰まっていたときだったから笑いたい願望があったのだろうか、ぶっと吹きだしてしまった。
ボーヴォワールって、やっぱり面白い。
私のアナイス・ニンをめちゃくちゃ嫌っていただけのことはある。
彼女は、アナイスの「女」というものについての考え方に、立腹していた。
アナイスは「私は人間である前に女よ」なんてことを言っていたから。
それにしても、同じアダムとイヴを出すにしても、すごい違いがあるな、と思う。
イヴのからだが
アダムの肋ら骨でつくられたのなら
わたしはあなたの肋ら骨だ
わたしのすべては あなたのものだ
百千のおとこの中から
わたしが見つけた ふるさとあなた
(新川和江「婚姻」より)
これは『恋に溺れて女になる』の最後に、入れた。
私はやっぱりこっちのほうがいい。
瞬間的なものであっても、こんなことを感じられるのなら……アナイス風に言えば、「悪魔にだって魂を売るわ」ってとこかな。
創作と創作の間の、いくつもの企画が頭のなかで渦巻いているシーズン。
机の上が乱雑になる。