ブログ「言葉美術館」

■■教養によってすくわれるのは■■

2016/06/27

S「教養というものが二人にある場合、無心と感激の水準に高められて、永く続く。そして、その感激のなかから苦しいものが生まれてくる恋愛の危機も教養によって救われる。

教養を身につけることこそ、恋に備え、恋を永続させる唯一の方法である」

フランスの作家、アンドレ・モウロワの言葉。

紙の切れ端にメモしてあったものがノートに貼ってあった。

うなずけるような気もするけれど、ちょっと違和ありかな。そもそも、恋って長く続かせるものなの? その必要があるの? と私は思う。

教養によって続けさせる必要がある男女の間には、恋というクレイジーシーズンを経たあとの、「意義」みたいなものがあると思う。

一緒にいることによって為し得る互いの自己実現、唯一無二のパートナーシップ、そういうものが。

 

教養がものをいうのは、恋愛の危機時というよりも、失ってはならない人を失いそうなとき。

失わないように、教養が手を差し伸べてくれるように、今は思う。

外は雨が降り出した。

少し離れたところから「濃霧」という言葉が聞こえる。

雨じゃなくて、あの軽井沢の濃霧のなかに身を置きたいきぶん。

絵は、以前に「失ってはならないひと」というテーマでエッセイを書いた、シーレの「死と処女(おとめ)」。

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