▽映画

◎ジェラシー◎

2016/10/21


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「愛してよ!」

ヒロインの叫びが耳に残る。

映画のはじまりは、ウィーンのオーストリア美術館。私の思い入れのある、あの部屋。
クリムトの「接吻」がある。シーレの「死と処女」がある。

二人の画家の絵が物語のなかに織りこまれ、彼の、彼女の心を代弁する。

「愛してよ!」と叫ぶヒロインは今だけを愉しむことを断固として自分に課し、毎日のようにアルコールに溺れる。
違うかな。アルコールに溺れることと今を愉しむことがイコールだとは思えない。
何か、自分のなかにある恐れから逃れるために飲んでいるのかもしれない。

とにかく、その美しい外見、奔放なふるまいで男たちは彼女に魅了される。
とてもクレイジーなのだけど、魅力的というタイプ。

「愛してやるだけでは彼女の場合ダメなんだ。
愛し尽くさないと。
誇りも捨てるくらい」

と夫に言わせるような女性。

この映画を観るのはもう三回目くらいかもしれない。なんだかとても観たくなってDVDを借りたのだけれど、今回は新しい発見があった。

それは冒頭のワンシーン。

男女の別れの風景が情感たっぷりで胸に迫った。
男性の表情、しぐさに見入ってしまった。
彼女と別れたくない、痛いほどに執着しているけれど、今は彼女を自由にしなければならない。
そういう心情が画面からあふれていて、彼に強く共鳴した。
恋の終わりの残酷さにせつなくなった。(ヒロインの30歳年上の夫を演じていたこのひと、調べたらデンホルム・エリオットという俳優だった。今日からファン)。

アルコールの威力についても、今回は考えてしまった。
酔いが人間にもたらすものについて。
ヒロインもアルコールがなければ、あそこまでクレイジーにならないのだと思えば、アルコールは本当に侮れない。

人を解放するものだから必要?
人は解放されてはいけない生き物なのに?

と教育委員会に褒められそうなことを言ってはみても、アルコールについての私の考えは過去の反省によるもの。

そして今、基本的にアルコールから遠ざかっているのは、解放されてはいけないものを解放したくないため。

セリフとして書きとめたのはこれ。

「男は女に何を求めるか。
欲望を満たすものであること。
女は男に何を求めるか。
欲望を満たすものであること。」

他にもはっとするセリフ、好きなシーンはあるけれど、やはり中央を貫くのは女の叫び。

「愛してよ!」

永遠のテーマ。

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