▽映画

◎ルー・サロメ 善悪の彼岸◎

2016/10/20


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「君は何をしているの?」 


「私は……生きたいわ」


監督がリリアーナ・カヴァーニ、そう、「愛の嵐」を撮った人。


この台詞はパウル・レーとの出逢いの時に、互いの職業などを聞き合う場面。


ルー・サロメという人を象徴している台詞のように思えて、心に響いた。

 

『ルー・サロメ 愛と生涯』の訳者土岐恒二氏は次のようにルー・サロメを言う。


「たとえばニーチェが絶望的に愛したボーイッシュな才媛であり、あるいは、未熟な詩人リルケを愛と詩の体験へ導き、……略……

晩年のフロイトのよき協力者として神秘に包まれた巫女……

要するに近代ヨーロッパの最高の知性の周辺をいろどるこわくの女」

 


映画は面白かった。

久々に濃厚なワインを飲んだかのように酔った。


それにしても、「あなたは? 何をしている人?」と聞かれて、「私は、生きたいわ」と言った時(言わないけど)、それを同じ世界観で受け取ってくれる人ってどのくらいいるのだろう、と考えた。


初めての人は想像しにくいから、周囲の知人たちに次のように聞かれたと仮定してみる。


「最近は何をしているの?(どんなテーマで書いているのか、それとも書いていないのかとかそういう意味で聞いているとする)」

そして私は答える。


「私は……、生きたい」


その時の相手の表情、対応を想像したら楽しくなってしばし熱中してしまった。


意外と、私の周囲に、(私から去らずに)まだいてくれる人たちは、楽しい反応をしてくれた(想像の中でだけど)。


最後に、ひどく共感した台詞を。

知り合いの女性から
「私たちには女性と社会への責任があるわ」

と言われて、


「“私たち”? あなたが主張する“私たち”って何なの? 私は私のことしか知らない」

大好きだな、と思った。

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