◎ぜんぶ、フィデルのせい◎
2016/10/20
フィデルは、フィデル・カストロのこと。
主人公の女の子がちょうど今の娘と同年齢ということもあって、とても興味深かった。
快適なブルジョワ・ライフを送っていたのに、親がコミュニストになったことから、生活が一転、少女はそれを無条件に受け入れることなく「なぜ?」を執拗に繰り返す。
そして、この「なぜ」のなかに、大人がどきりとするような本質があって、考えさせられる。
子どもの疑問とか指摘って、たいてい的を得ているから私は嫌い。
さて。
時代は1970年代。
中絶許可の署名運動なんかが出てきて、そうか、これにはサガンとかボーヴォワールとか、ジャンヌ・モローとかが署名したのよねえ、なんて思うと、少女をとりまく世界がぐっと身近になる。
反抗的な少女に手を焼く両親。
「ああ、その気持、わかります!」と共感してみたり、
「そうなのでしょうね、子どもからみたら、それって理不尽そのものなのでしょうね」
と、少女の心の動きに共感し、ああ、きっと私も娘からこんな風に思われているんだなあ、とこわくなったり。
恋愛ものではないけれど、1970年代がひとりの少女の目を通してとっても丁寧に描かれていて、よい気持になった100分だった。