◎それでも恋するバルセロナ◎
2016/10/20
成就しない恋だけがロマンティック。
ある程度、経験年齢を重ねれば、大部分のひとが知ってしまう、この真実を、ウディ・アレンが描いた映画。
それで。
「成就」って何だろう。
結婚なのかな。
結婚って成就なのかな。
違うよな。
「なにかの事柄が二人の間にあって、それで二人は逢いたいときにいつでも逢える状況にない」、そういう恋だけがロマンティック。
そういう意味なんだろうな。
……というのは、あとからくっつけた所感で、観ている間、私はひたすらバルセロナに行って、バルセロナの街を自由自在におよぎたい、という欲望に支配されていた。
自分の内側に抱えこんでいる色彩の種類は、年齢とともに増える一方で、それでも、人生のあるシーズンは身を潜めていたりするから、忘れていたりするのだけれど、映画とか本とか、人との出逢いによって、突然に姿を現す。
「それでも恋するバルセロナ」、この映画は私のなかから、「ほら、あなたこれ、もってたでしょ」と、ひとつの色彩を取り出して見せた。濃いピンク色だった。