◎食べて、祈って、恋をして◎
2016/06/11
すかん、と明るい気分になりたくて借りたDVD、これがとても面白かった。
ジュリア・ロバーツ演じるヒロインが物書きという職業の一致もあったかもしれない。
ニューヨークで作家として成功していて、長く結婚生活を続けている夫もいて、周囲から見れば完璧な人生。
けれど、満たされない想いを誤魔化しきれなくて離婚、その後年下の男性とつきあうけれどうまくいかず、イタリアからインド、インドネシアと一人旅に出る。
私が嫌いな「自分探し」っぽいかんじなのだけれど、もう、そういうことを嫌いとか言うのもやめよう、と思っているような状況だからよけいに面白かったのかもしれない。
ヒロインの職業が作家だからか、理屈っぽくて独白めいた部分も多くて、好みだった。
いくつか、セリフをひろった。
「つらい想いは努力したという証拠」
「愛のために調和を失うことは、調和のある生き方の一部」
「混乱しているのは、自分ではなく周囲。周囲に執着せぬこと」
「壊すことも大事。そこから新しい自分が生まれる」
「人は変化を歓迎しない。けれど、人は変化に備えるべき」
最後の三つのセリフはローマのアウグストゥス廟を訪れたときにヒロインが感じたこと。
ローマ帝国を築いた初代皇帝の墓は異邦人に攻め込まれ、破壊されたり、といろんな歴史にもまれてきた。
気が遠くなるような歴史のなかに身を置いて、「壊す」ことや「変化」について考えをめぐらす。よい場面だった。
観た後に、軽くて、きらきらとした光の粒子を浴びたようになる、そんな映画。
真のすくいにはならないけれど、その日いちにち、あるいは数日をすくってくれるような、そんな。