◾︎「フランカ・ソッツァーニ」とファッション関連の映画と
2018/12/28
18日の夜に、いちおうの完成稿を編集者さんに送って、この本の出版は3月の初旬だから、まだ先で、次の本の準備にとりかからなければならないのだけど、いくつかの候補のなかから、どれを最初に書くか、考えている、そんな一週間。
ひたすらに映画を観て過ごしている。
Netflixはアーティストのドキュメンタリーが多い。自分のいまのアンテナがどちらの方向を向いているのか、知りたいこともあり、かたっぱしから観る。
最初は、自作でちょっと考えていることもあって、ファッション系を。
▪︎「ジェレミー・スコット 人を仕立てるデザイナー」。
これは「モスキーノ」のクリエイティブ・ディレクターに就任した型破りなデザイナーのドキュメンタリー。私にはあまり響かなかった。
▪︎「フランカ・ソッツァーニ」。興味深かった。
フランカは 30年近く「イタリアン・ヴォーグ」の編集長をつとめた女性。息子が母親のドキュメンタリーを撮った。
60をすぎているようには見えなくて、アンチエイジングの努力がわかる外見で、そして、それでも「容貌が衰えてゆくのが嫌なのよ」とつぶやいていたフランカが気になった。
外見で左右される仕事じゃないからよかった、とか言いながら、私だってそれなりに気にしていることだから共感というかたちで、気になったのかもしれなかった。
2016年に病気のため66歳で死去。ドキュメンタリーは同年に公開されている。
フランカは自分は成功した、と自信をもっている。フランカの息子は父親が誰なのか知らない。 そしてフランカは成功したと言いつつも、愛を求め続けてそれを手にしていないことへの心情も明かす。息子への愛が人生のなかでいちばんなのだと、そんなことも言う。
「フレンチ・ヴォーグ」の編集長をつとめていたカリーヌ・ロワトフェルドや「アメリカン・ヴォーグ」のアナ・ウインターのドキュメンタリーを観たときと、酷似した印象を受ける。
自分は成功した、と思えるということ。子どもの存在が人生で重要なのだということ。
成功とは何か、彼女たちが何をもって成功と言っているのか、いずれのドキュメンタリーもそこまでは追求していなかったと記憶している。
私がいちばん、知りたいところなんだけどな。
デザイナーの伝記映画・ドキュメンタリーとしては以前に「ヴィヴイアン・ウエストウッド」「イヴ・サンローラン」「アルマーニ」「カール・ラガーフェルド」「ポール・スミス」、「ディオール」、あと何があったかな、いくつか観てきた。シャネルはもちろん。
ファッションデザイナーとファッション雑誌編集長。
同じファッション界にいても、同じ人間とは思えないくらいに、何かが決定的に違う。神経の温度、自分を守る殻の強度……、なんだろう。
ゼロのところから創り出す立場と、それを世の中に広める立場の人。その違い?
作家と編集者も同じような違いがあるように思う。ある作品をともに創造するために運命共同体みたいになっても、あの苦しみを知る者同士のようにはいかない。当然だけど。
▪︎「ティファニー・ニューヨーク五番街の秘密」。ティファニー社の理念とかティファニー大好きな人たちのドキュメンタリー。あまり心動かず。
どうやら私の関心は、いまはこの方面ではないみたい。