◎16本目 『スイミング・プール』
2021/11/05
【あらすじ】
最近スランプに陥っているため、気分転換として、出版社の社長の別荘へ行くことになった人気ミステリー作家のサラ(シャーロット・ランプリング)。
別の環境に身を置き、筆も進み始めた頃、突然、ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)と名乗る、若くて奔放な社長の娘が現れ…。
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路子
当時仲良くしていた映画好きな男の人に、オゾンの映画が公開されているから観に行きましょう、と誘われて、日比谷シャンテへ観に行ったの。なのに彼は15分くらい経ったら隣で寝ていたの。仲良くなって間もない頃で、私はそういうことを共有したかったのに、映画好きなのに寝るんだ、この人って思った。上映が終わって映画の話になった時に、彼は不眠症らしくて、映画館に入るとたまに寝ちゃうんだと話していたのだけれど、ふっ、と目を上げたらシャーロット・ランプリングの陰毛が…。
(笑)。
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りきマルソー
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路子
迫ってきて、一気に目が覚めたよって言っていたのを凄い覚えてるの。 それが『スイミング・プール』の私の強烈な思い出。で、その後におうちで一回観ているかな。
作家が主人公の作品だし、自分も最初に観た時よりは年を取っているから、余計全てが分かる感じがする。この作品は音楽がとても良いわね。
作家が主人公の作品だし、自分も最初に観た時よりは年を取っているから、余計全てが分かる感じがする。この作品は音楽がとても良いわね。
良いですよね。頭に残ります。
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路子
(映画の音楽の鼻歌を歌いながらコーヒーセット中)
シャーロット・ランプリングは『スイミング・プール』の頃、何歳くらいだったのかしら。
シャーロット・ランプリングは『スイミング・プール』の頃、何歳くらいだったのかしら。
やっぱり、この間観た『さざなみ』の時よりも若く見えますよね。2003年当時で57歳ですって。
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路子
57歳!? 凄く綺麗。身体見た??
見ましたよ、そりゃあ。オゾンのカメラワークなので、舐めるようにして映りますもん(笑)。 オゾンならではですよね。
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りきマルソー
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路子
オゾンはランプリングの撮り方を心得てる。こんなに良い映画だったとは!
作家が映画の主役になりにくい理由は、動きがないからなの。塩野七生も書いていたけれど、作家を撮ろうと思っても、考えながらうろうろしているか、書いている姿だけで全然動きがないから、作家を主人公にした映画は少ないって。
表情見た?
作家が映画の主役になりにくい理由は、動きがないからなの。塩野七生も書いていたけれど、作家を撮ろうと思っても、考えながらうろうろしているか、書いている姿だけで全然動きがないから、作家を主人公にした映画は少ないって。
表情見た?
見ました。あの乗っている時の笑顔。
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路子
ほくそ笑んでいる系の笑顔。うらやましー! でも、きてるー!、というのが分かるから、あの演技の上手さで引き込まれた。物書きの人だったら、あの感覚なんだろうというのが分かると思う。
乗ってる時はどんなに周りがうるさくても、集中していますよね。
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路子
うん、関係ないの。サニエちゃんも存在感があるけれど、ランプリングを追っているだけでも良い。ヨーグルトをドカ食いするシーンとか、気を遣っているのかいないのかって感じよね…。あの場面でイギリス人というのを象徴しているのかしら。お店に行って、チョコレートのデザートを。
ドカ食いしたり。
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路子
食べている時、満足した顔をしているのよね。
今迄も、甘いもので幸福を得てきた人なんですかね。コーラとか大量の砂糖が入ったヨーグルトとか。
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路子
そうそう。きっと欲求不満をそれで解消していたのよ。
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路子
全体的に面白い。だけど、謎が分からない! 全てが妄想という話なの?
何度観ても不思議です。
この映画の中の出来事は、サラが書いた内容、つまりラストで本になっていた『スイミング・プール』の内容なのかなって思っています。昔はジュリーのお母さんが亡霊として…なんて思ったりもしましたけど。
この映画の中の出来事は、サラが書いた内容、つまりラストで本になっていた『スイミング・プール』の内容なのかなって思っています。昔はジュリーのお母さんが亡霊として…なんて思ったりもしましたけど。
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路子
最後にあまり綺麗じゃない女の子が出てくるけど、あれがジョン(出版社の社長)の娘で、本当のジュリーよね? (名前はジュリアとなっている)
あれが本当のジュリーだと思います。
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路子
どこまでが…。
現実で、どこまでが妄想なのかが分からないですよね。
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路子
でも最後にすれ違った時に挨拶も何もなかったということは…。
実際に会っていない、ということですよね。
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路子
本当のジュリーは別荘に来てない、ということよね。
ジョンが始めの方のシーンで娘の存在を話していて、週末には別荘に行くみたいなことを言っていたけれど、そこからもう妄想は始まっていたのかしら?
ジョンが始めの方のシーンで娘の存在を話していて、週末には別荘に行くみたいなことを言っていたけれど、そこからもう妄想は始まっていたのかしら?
そういえば、別荘に着いてから一回ジョンと電話をしただけで、ジュリーが来てからは、ジョンと電話で話をしていないですよね。何か関係しているんですかね?
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路子
確かに。
ジュリーがジョンと電話しているシーンはあったけれど、それだって繋がっていたかも分からないし、その時もサラとジョンは話してない。一回も話していないのはおかしいなと思います。
あとは、サラがタイピングをしているシーンで最初は扉が開いていたのに、場面が少し動くと扉が閉まっているみたいなシーンもあったような気がするんですよね。
あとは、サラがタイピングをしているシーンで最初は扉が開いていたのに、場面が少し動くと扉が閉まっているみたいなシーンもあったような気がするんですよね。
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路子
そこは見過ごした! 着いたよっていう電話の時は繋がっているのよね?
サラはジョンが好きなのかしら。
サラはジョンが好きなのかしら。
愛人かどうかは分からないですが、きっとそうですよね。
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路子
もしかしたら編集者と作家の独特な関係かもしれないけれどね。私だけを見てみたいな、作家が編集者を独占したいという気持ち。
行けないっていう電話は実際には繋がっているのよね。その後にジュリーが登場するけれど、その時は留守電。ということは、全てが妄想なのか…妄想というか小説。
凄くオゾンに楽しませてもらっている感じがする。
行けないっていう電話は実際には繋がっているのよね。その後にジュリーが登場するけれど、その時は留守電。ということは、全てが妄想なのか…妄想というか小説。
凄くオゾンに楽しませてもらっている感じがする。
この頃のオゾンの作品って、ミステリアスな作品が多くて面白いですよね。
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路子
この頃って、前後はなあに?
『まぼろし』『8人の女たち』『スイミング・プール』の順ですかね。
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路子
『8人の女たち』の後なのね!
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路子
それにしてもランプリングの目。
本当にシャーロット・ランプリングの目は凄いですよね。
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路子
目が凄い。話を聞き出そうとジュリーを観察している時の、向かって右側の目の動きが恐ろしい程凄いわ。
冷やかさのある目も、ロンドンの冷たさのある作家、というのにぴったりなんですよね。
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路子
うん、そうね。
たまに凄く笑ったりするあのギャップが恐ろしい。
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恐ろしいよ!
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路子
フランク(サラが別荘地のカフェで知り合う男性)も想像なのかしらね。
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路子
私、この映画のパンフレットを買ったような気がする。
このパンフレットの作り好きなんです。ちょっと広告は入っているけど、作りが凝っていて綺麗。
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路子
私は軽井沢を思い浮かべるけど、リゾート地とかの静かなところに行きたくなるような感じ。
プロヴァンスとかそっちの方面なんですかね?
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路子
多分ね。
夏になって、空気が澄んで、太陽の光がぱーって入った時、『スイミング・プール』が観たいって毎年思います。
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路子
前に言っていたわね。
光と風の動きと、匂いを感じるんですよね。
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路子
うんうん、乾いた感じの。
あと、水の美しさ。最初のちょっと汚いロンドンの川からの、プールの水の美しさ。
何年か前、フランス映画祭にオゾン監督が来た時、水のことを質問した人がいたんです。よく使われているって。でもオゾン監督はあんまり意識していないみたいに言っていました。幼い頃とかに行った海水浴場や、そういった思い出があって、反映されているのだろうみたいな感じで。
何年か前、フランス映画祭にオゾン監督が来た時、水のことを質問した人がいたんです。よく使われているって。でもオゾン監督はあんまり意識していないみたいに言っていました。幼い頃とかに行った海水浴場や、そういった思い出があって、反映されているのだろうみたいな感じで。
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路子
『まぼろし』も海が印象的だった。
『僕を葬る』だって、ラストのシーンは海。彼の映画って、水場の場面がやっぱり印象的なんですよね。
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路子
サラはどんどんどんどん生まれ変わっているように見える。
だって最初と最後で別人みたいですもんね。
創作の為にジュリーを知りたい、という気持ちが生まれ、別人のようになったのかもしれませんが、ある時から何かを超えた瞬間を感じるんですよね。殺人の協力をしてからですかね?
創作の為にジュリーを知りたい、という気持ちが生まれ、別人のようになったのかもしれませんが、ある時から何かを超えた瞬間を感じるんですよね。殺人の協力をしてからですかね?
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路子
それも全て想像の世界だとすると、実際にそういうことをしなくても、想像力だけで甦生出来るということかしら? だってあれは実際に起きていなくて、小説の中のこと。イマジネーションで自分がマリファナ吸って、男と踊って、庭師を誘惑して…みたいに書いてあんな風になれるとしたら、それって最高のマスターベーションよね。
実際に体験しているなら、誰かに影響されて、色々経験して、今まで封印していたものを解くとか、自分を解放してみたり。そういうのは分かる。でも、自分が想像力で書きだした小説で、使用前・使用後みたいになれるなら凄いわよね?
実際に体験しているなら、誰かに影響されて、色々経験して、今まで封印していたものを解くとか、自分を解放してみたり。そういうのは分かる。でも、自分が想像力で書きだした小説で、使用前・使用後みたいになれるなら凄いわよね?
実際の彼女自身も変わってますよね?
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路子
現実の使用前・使用後があるけど、表情からして違ってる。
スランプに陥っていた作家が、スランプを抜け出して書けたからという捉え方も出来るけれど、瑞々しさが感じられるのよ。でもそれが別荘に籠もって、フランクのところにランチを食べに行ったり、庭師とちょっと話しているだけの中で獲得出来ているのであれば、それは素晴らしいことよね。想像力と創作行為によって、別人になれるなんて!
スランプに陥っていた作家が、スランプを抜け出して書けたからという捉え方も出来るけれど、瑞々しさが感じられるのよ。でもそれが別荘に籠もって、フランクのところにランチを食べに行ったり、庭師とちょっと話しているだけの中で獲得出来ているのであれば、それは素晴らしいことよね。想像力と創作行為によって、別人になれるなんて!
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路子
パンフレットに私が好きな秦早穂子さんがこう書いてる。
「オゾンは自分の描いた構図の中にサラとジュリーの関係を絡ませる事だけに熱中している。それはサラの小説であり、とどのつまりオゾン映画になるという構造なのである。謎解きに夢中になる私達を見て、オゾンは上手くいったと拍手する。勿論女は手強いのは百も承知で、彼はさらなる手を打つ。しゃかりきになって謎解きしたり、真っ向から論じるのは野暮というもの。」
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路子
現実ではなかったんだ?、というのはあるけれど、オゾンが描きたいものはそこではなく、その小説の中。サラとジュリーの女同士の関係性や、良い物を書くためだったら犠牲も厭わないとかなのかもしれない。
そういえば、サラが別荘に着いた時って、イギリスにいた時と違って物凄く機嫌が良いのよね。
そういえば、サラが別荘に着いた時って、イギリスにいた時と違って物凄く機嫌が良いのよね。
天国よって言っているぐらいですもんね。
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路子
うん。買い物してる時もルンルンした気持ちで、一人で住んで、一人で書くというのを楽しんでる。だからあのテンションでいったんだろうなって思うとよく分かる。
実は最後までね。
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路子
うん、そうそう。上手く書けたり、妄想が膨らんだり。
あの十字架はどう思いますか? 部屋に飾ってある十字架を棚にしまうシーン。
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路子
2回ね。
2回目に隠すのは何となく分かるんです。殺人に関わってしまったからっていうのでしまったっていうのは。
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路子
無神論者なんじゃないかしら。私達日本人が十字架を見て感じる違和感と、キリスト教が普及している国で、クリスチャンではないとか、十字架の存在を信じない人が見る違和感っていうのは違うと思う。
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路子
それにしても、本当にふたりとも魅力的だった。
オゾンのミューズですもんね。ずっと使ってる。
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路子
ふたりともね。それをあんなに濃密に絡ませているんだから、オゾン監督、楽しかっただろうな。取り方も綺麗だし。
でもサラって髪型も、そのへんのおばさんと一緒よね。
でもサラって髪型も、そのへんのおばさんと一緒よね。
服装も結構。
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路子
それも多分そういう設定なんだろうけど、妙にかっこいいのよね。だから彼女がドレスアップなんかすると、立ちくらみする程美しくなりそう。
最後に着る花柄の赤いドレスとか。
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路子
別荘のクローゼットにあったものよね。これが実際にあったものだとしたら。
ジュリーのお母さんが着ているものですよね。
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路子
でもジュリーのお母さんは生きてる?
死んでる?
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りきマルソー
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路子
でもそれは小説の中でのことよ。
もう分からない(笑)。
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路子
だから実際には生きていて、ラストのあまり可愛くない女の子のお母さんとして何処かにいる。
遠くに住んでる感じではなかったですよね。普段からロンドンにいて、普通に会いに来た感じだった。だから普通の円満な家庭。
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路子
もしくは別居だけしてるとかね。あの別荘も、まだお母さんが利用しているんじゃないかしら。だからお洋服が置いてあったりするのよ。
ずっと昔から置いてあるという感じではなかったですもんね。
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路子
匂いは嗅いでたけど。
全然大丈夫そうな感じでしたね。
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路子
だからサラの小説を私達は観たのね。
『スイミング・プール』という小説を映像として。
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路子
その上で内容を話すとしたら、それは素晴らしく面白い。50代半ば過ぎの女性が主人公はアガサ・クリスティみたいに同じシリーズを書き続けているベストセラー作家。でも嫌気が差してきて、スランプに陥ってる。介護みたいなこともして、独身。そんな状況。
場所が変わると、創作意欲も変わってきますか?
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路子
じゃないのかしら。例えば、ここで原稿を書くのと、5分先の何処かのカフェで書くのでは全く違う。それの大きいバージョン。あんな風な場所を与えられて一作書いてこい、と言われるのは辛いっちゃ辛いけれど、やってみたい。
作家って、缶詰とかあるじゃないですか。地方の旅館とかホテルとかに閉じこもってっていう。
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今は少なくなったみたいだけれど、昔はよくあったみたい。都内のホテルに1週間締め切りまで缶詰でとか。そうしなきゃっていう出版社側の状況も分かるし、そうでもしないとっていう書く側の気持ちも分かる。
例えば私が売れてる作家で、次の作品は小説を書いて下さいと言われていて、とりあえず1か月はホテルでなんて言われたら、日常のことを一切やらなくて良いんだから、それこそサラの世界。妄想に没頭出来るのよ! 幸せだろうなあ…。掃除も洗濯もしなくて良いし、宅急便の応対もしなくて良い。
例えば私が売れてる作家で、次の作品は小説を書いて下さいと言われていて、とりあえず1か月はホテルでなんて言われたら、日常のことを一切やらなくて良いんだから、それこそサラの世界。妄想に没頭出来るのよ! 幸せだろうなあ…。掃除も洗濯もしなくて良いし、宅急便の応対もしなくて良い。
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煩わされないで一人で色々やるのが大好きというサラの性格が、最初に強調されて描かれていたと思う。私みたいに淋しがっちゃうとダメだと思うけれど、サラはそういうタイプではない。
自分の頭の中でジュリーが生まれて、ジュリーと自分がかけ合う。自分の知らないジュリーが自由に動き出す。だから書きながら微笑みが浮かんでしまう、という感覚は何回か味わったことがあるけれど、本当に幸せなのよね。
自分の頭の中でジュリーが生まれて、ジュリーと自分がかけ合う。自分の知らないジュリーが自由に動き出す。だから書きながら微笑みが浮かんでしまう、という感覚は何回か味わったことがあるけれど、本当に幸せなのよね。
ずっとサラの視点じゃないっていうのも面白いですよね。たまにジュリー目線で物語が動き出す。
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小説もそういう書き方がされているのよね。第三者の目線ではなく、ふたりの目線で。
『8人の女たち』もそうだけれど、映画の面白さがぎゅっとつまってる。映像も綺麗だし。それこそ旅をした気分になる。私、単純だから、ちょっとプールに入っても良いかしらっていう気分になる(笑)。
『8人の女たち』もそうだけれど、映画の面白さがぎゅっとつまってる。映像も綺麗だし。それこそ旅をした気分になる。私、単純だから、ちょっとプールに入っても良いかしらっていう気分になる(笑)。
(笑)。
気持ち良さが凄く感じられますよね。だから本当にこの映像は、肌で映画の中の空気感を感じられる。ブルーレイで観たら、きっともっと美しいだろうなぁ。
気持ち良さが凄く感じられますよね。だから本当にこの映像は、肌で映画の中の空気感を感じられる。ブルーレイで観たら、きっともっと美しいだろうなぁ。
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きっと一緒に泳いでる感じになるわね。
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ちゃんとオゾンお決まりのブリーフシーンがあったわね(笑)。
上に行って下に戻る、舐めるようなカメラワークで(笑)。
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それでブリーフの上から自分のを…。あっ、やっぱり出すのね、やっぱり出すのねって思った(笑)。
もちろん。
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裏切らないところよね。そこもセクシーな場面だった。夏になると観たくなるというのが分かる。
日本でも、空気が変わったと感じる時があるじゃないですか。季節の変わり目。そういう時に観たくなる。
顔のアップが多いですよね。
顔のアップが多いですよね。
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路子
多かった。ランプリングは多分注射したりリフトアップしたりしてないから、首の弛みとかが凄い。
あとは手。手は年齢が出ると言うけれど。
あとは手。手は年齢が出ると言うけれど。
パソコンを打っている手を上から撮るなんて普通しないじゃないですか。それですら美しく感じる。
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シミもあるお年寄りの手だから、この人、本当に何もしてないんだなって分かって、その上でこれか!って思った。胸とかもシリコン入れたりしていないと思うけれど、綺麗な垂れ方をしてる。
でもそれこそ、りきちゃんの好きな年齢を重ねている人の美しさがあるわね。
でもそれこそ、りきちゃんの好きな年齢を重ねている人の美しさがあるわね。
そうそうそう。だからやっぱりオゾンはそういう女性を撮るのに秀でてる。
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路子
どっちが良いとかではなくて、それをサニエと同じアングルで舐めるのよね。
プールサイドのね。
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私サイドからするとそれ酷じゃない?って思うけれど、それをやる。
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路子
ランプリングの胸って私達のテーマである。
大きさ?
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うん。乳輪は大きくなかったけれど、やっぱりサニエの乳輪は大きいわよね。
サニエは大きい。サニエはフランス人ですもんね。ランプリングは確かイギリス人ですし。
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路子
じゃあイギリス人は普通で、フランス人がビッグなの?
(笑)。
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路子
まあ、この間観た『ドリーマーズ』のエヴァ・グリーンよりはサニエの方が小さい。びっくり度はね。
びっくり度!!(笑)。
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路子
あれは本当にびっくりしたもの。
サニエの変身ぶりには驚きですよね。『8人の女たち』とは全然違う。
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路子
あの時は子ども役っぽかったものね。
その前にサニエが出ていたのは『焼け石に水』なので、元々グラマーな感じではあったんですが。
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路子
『愛のあしあと』はもっと後よね。良い女優だわ。脱ぐのが好きなのかしら。自分から脱いでる感じがある。「脱がして!!」みたいな脱ぎっぷり。いつも脱いでる。基本裸。
サニエってフランス映画祭に何回かゲストで来ているんですけど、凄く気さく。で、良く喋る。
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路子
ドヌーヴとは違うのね。
うん、違う。良く喋り、活発で、自分の意見も言う。
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路子
質問されている以上のことも返すタイプね。
そうそう。で、ユーモアもある。可愛いし。
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路子
サニエって今いくつ?
1979年生まれ。
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路子
38歳か。この頃は20代の最初の頃よね。そりゃぴちぴちだわ。制作が2002年って出てきてビックリしたわ。
ランプリングはオゾンの『まぼろし』の出演で、また注目されるようになったんですよね。
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路子
それまでは脇役とか?
『愛の嵐』以降は何出てる?って言われても、あまり思いつかないですよね。
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路子
『まぼろし』は良かったわね。あなたが軽すぎてって笑っちゃうと言ってるセックスシーンが大好き。でもあれも妄想の話なのよね? 闇も入っているけれど。
旦那がいなくなった事実を受け入れられなくて、旦那がいるという妄想をしている話ですよね。そういうのは大丈夫ですか? 例えば、この間の『愛を綴る女』みたいな妄想はダメって、路子さん言っていましたけど。
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路子
あれは基本的にマリオン・コティヤールとルイ・ガレルの間に愛がないんだもの。
確かな感じではないですもんね。でも『まぼろし』は…。
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路子
確固として夫婦で。
その間には愛があって、長年連れ添っていて。
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路子
なのに自殺されてしまう。そういう喪失の気持ちは分かるから好きだけれど、それとは違うものね。
で、『さざなみ』がダメなんですよね。
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路子
氷に埋もれていた旦那の元彼女が発見されて、それをきっかけに夫婦生活にさざなみが立つみたいなあれね。
ランプリングの使い方が悪かったですよね。
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りきマルソー
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路子
りきちゃんも凄い怒ってたわね。ランプリングの撮り方をこの監督は知らないって。魅力的に映らなかったのよね。
よぼよぼのおばあさんかもしれないけれど、本当によぼよぼのおばあさんに映っていましたもんね。
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りきマルソー
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路子
『スイミング・プール』などで観たあのまなざしとか、ゾクッとするようなシーンがあまりなかったのよね。ランプリングじゃなくても良かったんじゃないかと思うような映画だった。
『スイミング・プール』はみなさまにオススメです。夏なので是非観て下さいというところでおしまいにしましょう。
『スイミング・プール』はみなさまにオススメです。夏なので是非観て下さいというところでおしまいにしましょう。
~今回の映画~
『スイミング・プール』 2003年5月 フランス・イギリス
監督:フランソワ・オゾン
出演:シャーロット・ランプリング/リュディヴィーヌ・サニエ/チャールズ・ダンス/ジャン=マリー・ラムール