ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

◎17本目 『ドン・ジョン』

2020/03/06

み:一方的だったのが、ああいう風に変えられる。

り:相手への埋没。

み:埋没。「とろん」ね。

り:ふたりで「とろん」(映画の前に性愛と気持ちについて話していた私達。「とろん」はその時のワードの一つ)。
字幕の「埋没」って、もうちょっと違う言い方なかったんですかね。

み:何ていう英語を使っているのかしら。我を忘れるみたいな感じ?

り:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、可愛くないですか? 。

み:りきちゃん好みね。私はロバート・デ・ニーロの若い頃の表情に似ていると思った。ジョセフ・ゴードン=レヴィットって、他の色々な作品に出てる?

り:ちょこちょこ出てるみたいです。『(500)日のサマー』という映画で知りましたけど、それと『消された暗号』しか観たことがないです。DVDをいくつか持ってはいるんですけど、まだ観てないです。キャリアは凄く長いみたいです。

み:本当に面白かった。丁度この作品を観る前に話していた内容と凄くリンクしていたわね。観る前の予習話をして、観よう!と、言って観たみたいな。私達って本当に素晴らしいチョイスをしていると思いませんか?

り:確かに。凄くリンクしてましたね。

み:B級、C級、D級くらいの映画だと思っていたし、そういうくだらないのが観たかったのだけれど、まずビックネームの女優がふたりも出てる。

り:実は3人ですよね。アン・ハサウェイも出ていましたよね。

み:あれそうなの? 映画を観るシーンで出てきた映画の中のショートカットの人?

り:あれそうだと思います。

み:友情出演みたいな感じかしら?

り:仲が良いみたいですけどね。

み:そうなのね。
ジュリアン・ムーアが出てきた時は、友情出演っぽいちょっとした登場で終わりなのかな?と、思っていたの。そうしたら最後メインを持っていった。いやー面白かった。
要するにこれは陳腐な言い方をすれば、本当の愛を知らなかった人が愛を知りました、ということよね。見た目も低い点数で、オバサンと言っちゃっていたくらい低い段階からのスタート。だから外見ではなく中身に惹かれたという、つまらない言い方しか出来ないけれど。

み:ジョンは、元々素質を持っているのよ。出会いがあったり、教えてくれる人がいたとしても、素質がないと開花しない。欲望のままに動くし、そういう素質を全然持っていないように見えるように描かれているけれど、エスターと出会ったことによって何かに気付き始める。それってやっぱり彼自身が持っている才能のひとつだと思う。エスターも最初はそういう関係になるとは思っていないはずよ。

り:彼自身にそういう中身があるからこそ、私生活のちょっとした仕草に出てくるんですかね。丁寧にベットメイキングをしたり、床掃除をするとか。

み:そうそう。あとは教会に行くとか。やっぱりストイックなのよ。自分を愛しているから肉体作りもするんだろうけれど。
これはもうみんなにオススメしたい。万人受けはしないかしら? 私は最高に気に入った。希望の映画だわ。

り:観始めは本当にそんなことが起こるっていう感じが全然しないのに。

み:最初はね。本当にくだらない映画って感じ。でもやっぱりスカーレット・ヨハンソンは演技が上手ですねえ。凄く自己中なくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃガムを噛んでる人物を演じてる。

り:彼の実家にいる時もくちゃくちゃしてますよね。

み:そうそう。あの感じとか、自分のことしか考えてないと言われても、何も気付きがないところとか。

り:何言ってるのこいつ?ぐらいですよね。

み:そう。ああいう人こそ、素質がない人。
エスターに「あなたのセックスは一方的なの」と、言われるけれど、彼はそれを受け止めてショックを受ける。同じシチュエーションでバーバラがそう言われたとしたら、きっとそんなことない、何言ってるの?、という感じになると思う。素質がないからそれに気付くことなく、受け止められない。

り:妹の最後の一言も秀逸ですよね。

み:そう! 全員を見ている。見る目を持っている人を代弁してね。ずっと携帯を弄っているのに。

り:一番見ていなそうで、周りに無関心みたいな感じなのに。

み:一言も喋っていなかったものね。あれが唯一の発言。

り:最初で最後の一言。

み:役者が良いと見入っちゃうわね。彼も凄く魅力的

り:でしょう?(笑)。

み:何歳くらいの設定なのかしら?

り:ネットでは彼は20代後半って書いてありました。
彼はエスターと出会って間もない頃、彼女に対して怒ったじゃないですか?

み:ノートを貸したシーンね。何でこの講義を取ったかを聞く場面。

り:それで言い当てられたんですよね?

み:別に当てられた訳ではないけれど、彼女の質問によって、自分からのアクションではなく、バーバラの希望で動いているということが分かった。そうは思いたくないのに、エスターからの質問で考えたくないことや見たくないことが見えてしまったから怒った。

み:でも実は重たいわね。エスターは、14ヶ月前に車の事故で夫と息子が亡くなっているんだもの。よく生きているな、という感じ。しんどいわ。そういう傷も持っていて、ふたりは結婚の約束とかそういうのは全然関係ないけれど、気持ちが通い合ってる。

り:その傷すら愛おしいという目線でしたもんね。

み:うん。良いなあ、あんなに愛されて。彼女が彼に教えたことは、正に私が映画を観る前に言っていたことよ。気持ちがあって、その先にセックスがある。それがないと気持ち良くない。でもあそこでちゃんと「あなたのセックスは一方的なの」、と言ってあげるのが良いわね。セックスのことって、デリケートだから中々言えないもの。年の差故っていうのもあるかもしれない。

り:そういう意見に対して受け入れない人もいる。受け入れるということはやっぱりジョンには。

み:素質があるのよ。
エスターも何かを持っていそうな女性よね。レアなポルノビデオを貸したりするような、何か普通の人じゃないような感じ。そういう人が彼に何かを言うということは、彼女もジョンの素質に気付いていたのかもしれないわね。こんな馬鹿に言ってもしようがないっていう奴には、きっと言わないもの。

り:ジョンって、多分初めて女性に理解してもらえたっていう気持ちがあると思います。そういうのでエスターとの壁がなくなったっていうのはあるかもしれないですね。

み:うん。だって初めて女性に自分はポルノ中毒だってカミングアウトしているんだもの。でもそれをえっ!?みたいな反応ではなく、エスターは分析してくれてる。どうして観ちゃうの?とか、ポルノなしでイケる?とか。それはジョンにとって、今迄にない経験よ。
言うとおこがましいけど、私もそういう分析とかするの。いやんとかではなく、どうしてそんなに観るの? そこに何があるの? それによってあなたは何を得ているの? 普通のセックスと何が違うの?、と、分析していく。だからエスターの分析の仕方が自分に似ていると思った。

り:それはね、思いました(笑)。

み:そうでしょう? りきちゃんは分かるわよね。自分を見ているみたいだなって思って。だから凄く楽しかったんだと思う。
おばさんと言われてしまう年齢で傷を負っている人でも、あんな風に最後ハッピーになれる映画ってサイコー! そういう意味では私の中ではとっても良い映画で5つ星です!(笑)。

り:正にジュリエット・ビノシュの『アクトレス』で言われていたことですよね。どんな馬鹿げた映画でも、真実があるってね。

み:うんうんうん。そうね、本当ね。

り:全然そんなに期待していなかったですもんね。

み:しかもそんなに馬鹿げていないのよね。最初の方に扱っているもので馬鹿げてるって思わせるけれど。

り:その落差があるからこそ、現実味や重みがありますよね。

み:本当に真実があったと思う。今の私のメインテーマがあった様な気がする。それって凄いわよね?

り:うん。たまにはこういうの観なきゃダメですね(笑)。

み:本当ね。私、何度もアマゾンプライムでこの作品をスルーしていたの。

り:そうなんですか? 存在は知っていたんですね。

み:うん、オススメとかで出てくるもの。内容も見ないでいた。

り:あのパッケージですしね。おバカなアメリカの青春映画みたいな感じですもんね。

み:そうそう。で、ドン・ファンをもじったりしているから、本当にくだらないラブコメディーとかお色気コメディーみたいなのかなって思ってスルーしていたの。それがこんなに素晴らしい映画だったなんて。

り:多分ジョセフ・ゴードン=レヴィットがプロデュースなんですよね。

み:監督ではないの?

り:監督・脚本ですって。

み:彼、凄いじゃないの。

り:そう、彼凄いんです(ハート)。

み:実年齢は何歳?

り:36歳。

み:ということは、32歳の時の作品なのね。りきちゃんと同じくらいね。

り:そうですね。

み:あれで32歳で、ジュリアン・ムーアは何歳くらい?

り:52歳。

み:私と同じくらい。52歳と32歳だから、20個くらいの歳の差か。十分有り得る。作り方も良かったわね。古典的な方法なのかもしれないけれど、同じシーンを繰り返していく方法ね。教会のシーン、車のシーン、家族のシーンを1週間ごとにね。それでちょっとずつ変化がある。スポーツジムのシーンもそうね。最後は。

り:いつものマシーンではなく、バスケットに行きましたね。

み:というのは、自分ひとりの世界からコミュニケーションを取る方に行ったってことよね?

り:あとは懺悔と祈りの必要性がなくなったからですよね。

み:そうそう。自分にとってはエスターとの婚前交渉は全然罪ではないと思っているのに、懺悔室で10回祈れって言われたから。

り:どういうカウントのシステムなんだってね(笑)。

み:本当よね(笑)。

り:彼にとっては本当に特別なものだったんですよね。それなのに懺悔室で侮辱されたみたいな感じなんですかね。侮辱されたまではいかないけれど。

み:侮辱されたまではいかないけれど、今迄にあった一夜限りの関係やポルノ鑑賞を何十回も観てしまうことは自分自身も罪だと思ってる。でもエスターとの関係は、罪という意識が全然ない。それなのに10回も祈れと言われたから、自分の中で何かが違うと思ったのね。
十字架のネックレスつけて、車にも十字架のアクセサリーがぶらさがっているから、割と信仰的なのよね。イタリア系の家族かしら? 彼女の話をしている時に、ユダヤ系か?ってちょっと差別的な発言をした後に、イタリア人じゃないぞっ、と言っているから、そのうちがイタリア系だと思っていたのだけれど。プロテスタント?

り:プロテスタントではないかも。

み:神父だからカトリックよね。

り:祈り方も十字を切っていたので、カトリックかと。

み:プロテスタントだと牧師。

り:で、聖母マリアが信仰対象になってますしね。

み:それにしてもアメリカって本当に禁欲的…というかなんだろう…しばりが日本よりもあるような気がする。
セックスについて話している時に、愛の行為という言葉を使う時は正常位オンリーだって言ってたわよね。バーバラとの関係は、愛情がある関係だから正常位。あんなに遊びの関係が多い人でも正常位が多くて、ファリュスを口で愛するのはあまりせず、ミネットすることを要求する女が多いというのが、彼の性経験の中でもパーセンテージを占めてる。そういう女が多いってことに私は驚いた。

り:一般的にそうなんですか? でも私もそう思った。

み:思ったわよね。まありきちゃんの場合は男と男だから、男と女のセックスとはちょっと違ってくると思うんだけど、それにしてもそう思わない?

り:うん、嫌いなんだって。

(ここはちょっと秘密の会話が続いたのでカットしました。秘密よ秘密。)

り:例えばミネットされるのが嫌いな人もいるわけですよね?

み:そうね。でもミネットするのが好きな人って多いみたい。したがる人が多い。だけどそれが嫌いと言うと、しないで済むならラッキー、という人と、どうしてもしたいという人に分かれる傾向があるの。これをしないと興奮しないって人ね。それを要求するというのは、アメリカの女性の特徴なのかしらね。日本とは違う結果が出そうね。

り:そういうことって聞けないし、聞かないじゃないですか。

み:よっぽどじゃないとね。

り:前に知人と、友人とかのセックスって見てみたいよねっていう話になったんです。

み:じゃあ、りきちゃんがしてるのをとか? 私がしてるのとかをってこと?

り:まあ言っちゃえばそういう話なんですけど(笑)。
やっぱりどういうことをしてるんだろうとか、ポルノじゃないものとして。

み:だからラブホテルの盗撮みたいなのが出回ってるのよ。

り:そういうポルノではなく?

み:本当にあるみたいよ。だから需要があるのよ。
例えばカップル喫茶?みたいなところでというのは、人に見られることを意識してしているからちょっと違う。人に見られることを意識していない人達がどういう風にしているか。つまり隣の寝室というやつね。あそこの夫婦はそういう風にセックスしているのか?とか。そういうのはみんな共通に思ってるかもしれない。でも私はそんなに興味がない。そういうのは私のメインテーマだけれど、実際の性行為、特に知人のは見たくはないなあ。

り:性行為自体を見たい訳ではないんです。統計みたいな感覚で知りたい。でへへへっていうので見るのではなく。

み:ここはこう、ここはこうみたいなね!

り:そうそうそう。ここはこういうことをするんだ、みたいなのを知りたい。言葉だとやっぱりちょっと違うじゃないですか。

み:うんうん、なるほどね。でも凄そうよね。普通のカップルがコスプレとかしながらやってそうだものね。それがそのカップルの普通だったりする。

り:いわゆる「みんなの普通」というものが知りたい。そういうのを話す場がないじゃないですか。聞く場とか。だからこそ、こういう映画を観た時でも一般的な常識が分からないから分からない。

み:だから『セックス・アンド・ザ・シテイ』が爆発的な人気を博したのは、それを女性の目線で語ったから。りきちゃんは全部観た?

り:全部観ました。

み:私はルーティンで10回くらい観てると思う。あまりにも観ているから、その本を書いてくださいと言われたくらい。でもあれは本当に女から見たセックスを赤裸々に語っている。下手だけど気付かない男とか、そういうのがあったから面白かったんだと思う。へぇっていうのと、代弁してくれているところとかがあったから面白かった。性っていうのは日常会話の中ではあまり出てこないからね。

り:タブー視扱いされてますからね。

み:色眼鏡で見られる。軽井沢夫人書いただけでもそうなんだから。

み:彼はポルノに夢中になっているけれど、現実の女とも寝ている。満足はしていないけれどね。だからまだ現実世界との繋がりを持っているけれど、今はネットので満足してるっていう人達が増えてる。それも実写ではなく、アニメーションもある。でもそう考えてしまうのも分かる。ドンが言っている通りに、本当にそこには理想があるんだもの。自分が動いたり、相手を満足させようって思わなくても良いんだもの。

り:一方通行のってやつですよね。

み:うん。一方通行の気楽さは私にはないけれど、そういう人が増えているっていうのも分かるような気がする。めんどくさくない。ぐにぐに言わないし、愛してーとも言わない。そういう今の現実を描いている気もした。

り:意外と深い。探るといろんな方向から観られる。

み:ドンの家族もみんな身勝手。バーバラと別れて、お母さんが怒るシーンも、自分のことだけを考えているし、それを思いっきり言っちゃう。私の孫はどうなるのよ!って。ドンはハートブレイク中なのに。身勝手なのよね。

り:身勝手な両親なんですよね。俺の女だって言う父親。

み:そうそう。バーバラを舐めまわすように見たり。

り:尻撫でたり。

み:ああいう家庭に育っているっていうのもバックグランドとしてある。コミュニケーションが取れてない。

り:コミュニケーションですら、みんな一方通行。

み:妹はずっと携帯弄ってるし。

り:お父さんはテレビばっかだし。

み:だからそういうのが彼の人格形成に影響を与えているなっていうのも納得出来る。

み:いやー面白い映画でした。これオススメです。皆様に。今アマゾンプライムにて無料で。

り:ご覧いただけます(笑)。

み:タイトルがくだらなそうだとか、パッケージで判断しないで。

り:しない。もうしちゃダメ。

み:タイトルが良くないのよ。そうなんだけどさあって思うけれど。

り:そういうのいっぱいありますよね。

み:日本語にしてタイトルをダメにしてしまうのもあるけれど、これは原題でしょう?
タイトルがドン・ファンに似てしまっている事も誤解を招いていると思う。

り:意味があるのかな。

み:ドンってあれよ。

り:そうか。ドンって、「私の首領(ドン)と呼ばせてくださいー」のドンですもんね。

み:それ何だっけ? 凄い懐かしい。何だっけなんだっけ?? リアルタイムで聴いていたような気がする。誰だれ?

り:石野真子。

み:石野真子だ!

り:漢字とカタカナで首領(ドン)って字幕が出てきた時、真子ちゃんしか出てこなかった。

み:だからドンっていうのは、ナンパの首領(ドン)みたいな感じで呼ばれていたからなのよね。

り:そうですね。

み:で、名前が。

み・り:ジョンだから、ドン・ジョン。

み:なんだけど、やっぱりタイトルはもう一工夫欲しかった。

り:そのまんま過ぎましたね。

み:名前だものね。名前というか呼び名。

り:日本だと『彼のあだ名はなんとか』みたいなタイトルになりそう。

み:『彼のあだ名はドン・ジョン』とか『ドン・ジョンのセックスライフ』とかね。

り:ありそう(笑)。

み:それだともっとくだらなくなるわね。確かに難しい。

り:だからと言って真面目なタイトルにしてしまうと面白さが半減してしまう気がする。そういう映画なんだって真面目に観ちゃう。タイトルって難しい。

み:そうするとやっぱり『ドン・ジョン』ね。

り:海外だと名前をタイトルに付けるの多いですよね。

み:多い。

り:海外のアーティストも、自分の名前をファーストアルバムのタイトルにしたりしているし。

み:原題が固有名詞なのに、邦題を変えてしまっているのって結構あるわよね。だからこれは付けようがなかった。どういう風にしても陳腐になっちゃうと思って『ドン・ジョン』にしたんじゃないかしら。私達が考えても、ぷっていう陳腐なのしか出てこない。ドン・ジョンが本当の愛に巡り合う物語とか、センスの無さ爆発!みたいな。だからタイトルの件は。

み・り:許そう。

み:今日は本当にナイスチョイスでした。自画自賛な私達。みんな、意味不明だと思うけれど。


~今回の映画~
『ドン・ジョン』 2013年9月 アメリカ
監督・脚本:ジョセフ・ゴードン=レヴィット
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット/スカーレット・ヨハンソン/ジュリアン・ムーア

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間