ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

☆32本目『恋のモンマルトル』

2020/02/06


【あらすじ】

キャバレーで人気の歌「Zig Zig」を唄うダンサーのマリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)とポリーヌ(ベルナデット・ラフォン)。
パートナーであるふたりには家を建てるという夢があり、お金を貯めるために娼婦としても働いていますが…。


路子
路子
劇中歌や原題の「Zig Zig」って一体なに?
作品の中でも、男の人が同じことを聞いていますよね。セックスみたいな意味合いが含まれているのかもしれませんね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
セックスまでいかないにしても、いいことしましょう、くらいの感じかしらね。
この映画の監督ラズロ・サボは、他にどんなものを撮っているの?
監督というよりは、演者の方が多いみたいで、ゴダールやアルノー・デプレシャン、オリヴィエ・アサイヤスの映画に出演しているみたいです。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうだったのね!
この映画の頃って、ドヌーヴにオファーが殺到した時だと思うの。ジグザグに進むのが好き、と言っていたくらい、色々な役に挑戦していた時期。でも30代は不調で、『終電車』で一度引退を考えたみたい。でも40歳で『ハンガー』に出演した。その後は『インドシナ』まで、再び不作の時代が続くのよね。
この作品って、ドヌーヴがプロデューサーなのよ、知ってた?
そうなんですか? 知らなかったです。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
今まで演じてきていたクールなイメージではなく、激情型。それまでに出演していた作品とは色彩が違うから、珍しいと思って、この作品について調べてみたら、彼女が映画作りに関わっているのを知ったの。自分が関わった上で、こういう役にしたということは、こういう人物を演じたかった、ということね。

路子
路子
結構面白かったわね。マリーの元恋人が酔っ払ってフラついている映像から始まったから、絶対につまらないと思ったのに。

思っていたよりも、良かったですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
ちょっとバカにしていたわ。ドヌーヴの表現が激しめで、マリーとポリーヌが唄い始めたあたりから、ドヌーヴの演技がハツラツとしている、と思い始めたの。
いきいきしていますよね。しかもラストに向かって激しさを増していく。ドヌーヴ、とても楽しそう!
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうなのよ。だからこの作品の見どころは、そのようなハツラツとして弾けているドヌーヴが、感情を爆発させているところね。
ポリーヌがお金目当てで誘拐事件に関係していると知った時、追いかけたりしているものね。そんな役、今までになかったもの。
女スパイみたいでしたね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
うん。演じているのを楽しんでいる感じ。年齢的にも旬で、とても綺麗。でもそんなに内容は無いのよね。

たしかに奥深さとかは感じられないですね。
りきマルソー
りきマルソー


2人は町中の人気者なんですね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
飲み屋に行ってもどこでも。
みんなが群がっていますもんね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
売春行為をしているのにね。
警察すら目をつぶってる。『昼顔』とは違う娼婦の姿ですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
全然違う。明るくて。
バンバンおいで!ぐらいの勢いがある。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
悲壮感も無い。セックスというものが無いような映画。
身体を売っているシーンは少し出てきますけど、コメディタッチでしたね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうそう。同じことを描いていても、こんなに違うのね。
家を建てるために、娼婦として働いて、お金を貯めているんですよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
うん。スイスに建てるって言っていたかしら? 海外の山に建てる計画だったわね。


この映画って、レズビアン的な要素を持つ作品ってことですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
ラストシーン?
そうです。普通の友情以上のものを感じたんですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
それは全然思わなかった! レズビアンの話なの?
でも、女同士の友情は、ちょっと分かる。ただ、どこが境界線なのか、というのは分からない。
例えば、友達同士でも、友達が死んでしまったらキスとかするんですか?
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
フランス人と日本人の違いもあるじゃない?
そうかあ。超える何かがあるような気がしたんですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
十代の頃って、女友達、特に親友に対しては、普通の友達以上のものを感じることがあるの。
女性の先輩に恋をする、みたいな感じですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
それはレズビアン的感覚かしら。
お互いに彼氏もいて、友達同士だと分かり合っているけれど、自分以外の女友達と、自分以上に仲良くしたりし始めると、すごくヤキモチを焼く。私のことが一番好きなんじゃないの?という感覚。かと言って、寝たいかというと、それとはまた違う。
今りきちゃんが言っていたことは、私にとって思いもよらなかったの。たしかに危うい何かはあるかもしれないけれど、レズビアンというのが濃厚にあったとしたら、もっとシーンの途中で出てくると思うの。


路子
路子
頼り甲斐のあるしっかり者のマリーと、ちょっと危うい面を持つポリーヌは、すごく強い絆で結ばれている。ふたりの役割分担がはっきりしているから、争いもない。そういうふたりは絶対にうまくいくのよね。でもポリーヌは男のためにマリーを裏切ったのよね?

お金のためじゃないんですか?
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうかあ、お金が最初ね。でも、バンドマンの男の人と恋仲なのよね?
そのふたりからは、情熱的な恋愛をしている仲ではなく、お客の延長という感じがしたんですよね。家を建てるためにお金が必要だから、一回で莫大な金額が手に入ることに魅力を感じてやったんじゃないんですかね…。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
女ふたりでお家を建てて、一緒に暮らすことが夢になっている時点で、ふたりとも成熟はしていないのよね。
夢物語みたいな?
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そう。仲良しなふたりが…。
将来一緒にお店やりましょうね?みたいな感覚ですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうそう。そんな感覚だと思うわ。でもやっぱり気持ちの面では支え合っているから、共依存の関係かしらね。ポリーヌも支えられているけれど、マリーも頼られたり、ダメな人を支えることにより、自分の存在意義を感じている。

路子
路子
誘拐されたオペラ歌手のエピソードが良かった。

あぁ、ちょっと汚らしいおばさんの!
ディヴァインというドラァグクイーンが出演しているジョン・ウォーターズ監督のカルト映画『ピンクフラミンゴ』ってご存知ですか?
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
全然知らない。
その映画に、いつも卵を食べている赤ちゃんゲージに入った汚らしいおばさんが出てくるんです。その人を思い出しちゃいました。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
(笑)。
オペラのおばさんのシーンは、割としっかり描かれていましたよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうそう。
ちゃっかり運命の出会いもあったり、「助けるなんてーここに居たいわ」って言ったり。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
「人生って最高ね 素晴らしきかな人生…」と、言っていたり。
誘拐されたことで、逆に人生花開いていましたね。
手袋を取ってひらひらさせてから投げるシーンは、『8人の女たち』のファニー・アルダンが唄っているシーンを思い出しました。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
これもオマージュなのかしら? 私も思ったの。オゾンはオマージュだらけだものね。
しかもファニー・アルダンは娼婦の役なんですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
たしかにね。じゃあ『恋のモンマルトル』もオマージュとして入っている可能性が高いわね。

~今回の映画~
『恋のモンマルトル』 1975年1月 フランス
監督:ラズロ・サボ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ベルナデット・ラフォン/S・シャンドール/ヴァルテル・キアーリ

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間