路子先生との時間

変容のとき、『ジェーン・バーキンの言葉』

2018/03/21

路子先生の新刊、『ジェーン・バーキンの言葉』。
赤ワインを開けて、愛の吐息のシャンソン『ジュ・テーム・モワ・ノンプリュ』を聴きながら、ひさしぶりのぜいたくな読書タイムを満喫した。

今の私に響いたキーワードは、「変容」。   (99p!)

ゲンスブールが創りだした「セクシャルでスキャンダラス」なイメージで、フレンチポップのアイコン的存在となったジェーン。  あのゲンスブールが「ムッシュー・バーキン」と扱われジェラシーを抱くほど成功を収めたものの、次第に先行するイメージとのギャップに違和感を抱くようになる。

「いつまでも可愛い女の子じゃいられない」。

もっと「存在感のある深みのある女性を演じたい」とキャリアも過渡期に差しかかるお年頃。その内面の変化は、バッチリメイクやファッションで決めていた「ジェーン・バーキン」から、ほぼノーメークにシンプルな服装へと、外見の変化にも繋がっていく。

「変容」を求め始めたのは、ちょうど私と同じ32歳。今の自分を重ねた。

翌日、路子先生のオフィスへ。路子先生は本へのサインに必ず、一言メッセージを添えてくれる(キスマーク・スタンプも)。
「何かリクエストある?」「うーん、とくに……」そんなやり取りのあと。

添えられていた言葉は……「私は自分に似始めていたの」。
ジェーンが「可愛くてコミカルな女の子」を演じることから抜け出し始めたときの言葉。射抜かれた一文だった。
(さすが、なんでもお見通しだ。)

実はその日の路子先生に感じたのも、「変容」だった。このところ半年ほど会わない時期が続いていて、ひさしぶりにお会いした路子先生はちょっぴり別人みたいだった。身を取り巻く状況の変化などもあったとは思うが、話をしていて、路子先生を決定的に変えたのは、タンゴなんだなと思った。路子先生は変容を重ねながら生きてゆく人だ。

32歳の私が、これからどう変わるのか。むしろ変われるのか。わからないけれど、ジェーンのように、路子先生のように「変容」に柔軟な自分でありたい。「フレンチ・シック」は無理でも、自分の中でのせいいっぱい美しく年齢を重ねていきたい。いうまでもなく、この「美しく」は外見のことをいっているのではない。でも年齢を重ねるほど、内面は外に現れるものだとも思う。

表紙の帯のメッセージには「変わりたいなら「いまの魅力」を捨てたら?」。  本文を読んでみると、なぜこの言葉を一番目につく場所に選んだのかがよくわかる。

ジェーン・バーキンの言葉 (だいわ文庫)

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