◆セルジュ・ルタンスの「官能」◆2009.10.19
2020/04/22
前回、シアーなストッキングについての話をしたときに、「別の記事が目当てで購入した、ハーパース・バザー日本版11月号」……と書きましたが、今回はそのお目当ての記事から。
この号は「官能」がテーマだったのです。
それだけでもなにか購入への義務みたいな感情が生じてしまうのですが、
「“極意”はプロに仰ぐ! 官能3賢人のセダクション講座
マノロ・ブラニク アズディン・アライア セルジュ・ルタンス」
の文字を見れば、これはもう買わないでいられるわけがありません。
それぞれが、それぞれに興味深いことをもちろん言っているわけですが、気分として「セルジュ・ルタンス」をご紹介しましょう。
さて。
記事では「官能的な女になるために、10の質問をさせてください」に、セルジュ・ルタンスが応えているのですが、つまらない、ありがちなことを言うはずがなく、「ハウ・トゥーはない」と当然のことを親切に繰り返しながら、セルジュ・ルタンスの美の哲学の香りを漂わせているのでした。
たとえば、ファッションについて、
「官能的な女性のドレス・コードはありますか」という質問に。
「コードは、人間が編み出し、人間が適合させるものです。特に避けるべきは、わざとらしさ、堅苦しさ、何かの意図が見え見えといった装いです。そうではなく、時にはほとんど偶発事とでも言えるような簡単さの表れ、トレンチコートさりげなく緩める仕草、その人ならではの自然な着こなしの表現です」
「官能的な女性を言い当てる言葉を3つ」という質問に。
「注意深い無関心、目立たぬ好奇心、見せびらかしでない図々しさ、これらが完璧に調合されたもの」
……一日ずっと考えていられそうな、言葉だと思いませんか。
ほかのもじっくり読むと、セルジュ・ルタンスにとっての官能、官能的な女性に不可欠な要素が一つ、浮かびあがってくるように思います。
それは「知性」です。
「官能」と「知性」を相反するものととらえている人も多いのですが、セルジュ・ルタンスは違うようです。
最後に胸を突かれた言葉を。
「美とは、はっと息をのむもの、印象に残るものである。魅力というのは、自分自身の結果である。女性の数だけ可能性がある。……(略) 自分の現実を知っていて、自分にふさわしい美を採用できるのは、その女性本人だけだ」
やはり、自分自身と他のひとたちを区別することが肝要なのです。
他のひとたちと同じかっこうをして安心している精神性には、官能も美も、なにもかも、宿ることはないのです。
(参)ハーパース・バザー日本版11月号