MODEな軽井沢 特別な物語

◆ラクロワの美しすぎるドレス◆2008.11.3

2020/04/22

それはエントランスからまっすぐに歩いたところにある、ウエルカム・ゾーンで、文字通り、「きらきらと、輝いて」いました。
「ひきよせられるように……」というのは、まさに、あのときの私。

それは、期待しないで出かけた美術館で、思いがけず美しいものに出逢った感動とまったく同じで、あらためて、「ドレスもアートなんだわ」と思い知りました。
ときは十月の中旬、待ち合わせまでの半端な時間を埋めるために立ち寄ったデパート(新宿の高島屋)で、まさか、このようなものに出逢えるとは、ほんとうに人生はあなどれません。

さて。
芸術品にはそれを警備するひとがつきものですから、もちろんかたわらには制服姿の、おじさまが。
私は許可を得て、携帯電話のカメラで三回、シャッターを切りました。
もちろん「今この瞬間の私の姿は、すっごくミーハー」と重々承知の上です。

「クリスチャン・ラクロワ オートクチュールの世界」と題された展示でした。
六点くらいドレスが展示されていて、いずれも、
「欲しい! これがもらえるなら嫌いな男と100回デートしてもいい!」
「これを着て、もう一回結婚パーティーをやりたい!」
と意味不明な奮起を促すものばかりだったけれど、やはり、この一着。

会期は一週間のみでしたから、軽井沢在住の私が、このドレスに出逢えたことは、もう、運命。
と言い切りたいところです(写真しか所有できないが)。
このドレス、1996年の春夏コレクションからで「未来的歴史主義」というタイトルでした。

クリスチャン・ラクロワそのひとについて。
「天才肌の人にありがちなエキセントリックな感じは、全くない。口の悪いフランス人記者でも、ラクロワをけなす人はまずいないし、それどころか事あるごとに盛り上げようとする人が多い」

「義理人情、礼節などが存在しないような現代の風潮の中で、時としてその失われかけた人生の掟を心得た人に出会うことができます。そんな一人」

人生の掟を心得た人・・・。と言われるラクロワもすごいけれど、このような言葉を使ったひともすごいと思う。(私には縁のない言葉という意味で)

「一番好きなのは、黒です。いつか、黒ばっかりのコレクションを作ってみたい」
で、「白は苦手」とはっきりおっしゃる。(参:「世界のスターデザイナー43」堀江瑠璃子著 未来社」)

けれど、私が近いうちに行きたいものだ、と思っているホテルは、ずいぶんと豊かな色彩の内装のようです。
パリの、「ホテル・デュ・プチ・ムーラン」。歴史ある建物にラクロワの才能が加わって(内装を担当)、美しく生まれ変わったのです。

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