■緊急事態17日目。究極の濃厚接触とバトンとサガン
今日のニュース。「緊急事態宣言、延長の見方広がる」。
昨夜遅く、お友だちとのメッセージのやりとりのなかで私は言った。
「慣れるものね」。
この生活に、慣れてきているのはほんとう。うんざりしているけれど、しだいに慣れてきている。良いのか悪いのか。
仕事の面からすると良いような気がする。誘惑がないから、しぜん、仕事の時間が増える。あとはそこに集中するだけ。
別のお友だちからのメッセージ。
私の日記を読んでくれて。
「素敵な新月の夜を、ありがとうございました。
今回の新月は、おうし座。ヴィーナス(金星)を守護星とする星座だそうです。
ヴィーナスを一言であらわすと『生きる歓び』。
それは、豊かな生活、芸術的センス、大人の楽しみ、といったキーワード」
おうし座の私に、こんなにすてきなメッセージを送ってくれる。こころ豊かなお友だち。いつもありがとう。
ところで、今日も、大好きなひとからのお声がけにノン、と言ってしまった。
FBで「7days Book Cover Challenge」、好きな本を7日間投稿、7人のひとにバトンを渡していくというのが行われている。
家で過ごす時間を読書に。すばらしい。私の職業にとっては、ほんとうにありがたい動き。
そして、何人かの人たちからバトンの話があった。そして今日も。
お断りするのはほんとうに申し訳ない。この申し訳ない、って気持ちを考えれば、バトンを受けて紹介すれば済むことでは? とも思ったりするのだけれど。
私は緊急事態宣言が出て4日目から、ここに「緊急事態下日記」を毎日書いている。そのほとんどの記事に「今日の読書日記」を入れている。
そして締め切り間近の原稿を書く。
ここに7冊の本を紹介を加えるのは、私のようなエネルギッシュではないものにとっては、かなり負担なのです。
なぜなら、自意識過剰、いいとこ見せたがるこの性格だから、物書きという立場上、本を選ぶのにすごーく時間をかけると思うし(書棚の前に立って数時間過ごしている図が容易に想像できる)、「本のカヴァーの画像だけでいい」とされていても、1冊ごとに、そのときのめいっぱいのことを書いてしまうでしょう。
もともとこういう流れに乗るのが苦手な性質ということもある、と告白もちゃんとしておこう。
あとは、バトンを渡す人、7人も思い浮かばない。しくしく。
というわけで、今日もお断りしてしまった。大好きな人なのに。
午前中は、昨日加入した「楽天ブックス」で、週刊誌をざっとチェックした。
コロナ関係で、いくつか興味深いものを拾った。
たとえば、コロナと性愛について。
性愛。究極の「濃厚接触」ね。
唇関連のあれこれがダメ。声もダメ。向かい合って愛し合う場合でも、顔は互い違いにしてね。
ってことが、「医学的見地」から述べられているものだから、表現が露骨、いや、正確で……。たいせつなことなのでしょうけれど、性愛を行うという時点で、もう……。
次。たとえば、性のお仕事をしている女性。SNSなどを活用して、脱いだりあれこれしてお金を稼ぐ人が増えているそうです。
さらに次。たとえば、美容整形。在宅勤務になった女性たちにとって、整形のチャンスなんだって。あるクリニックはいつもの2倍〜3倍の予約があるって。外出しないし、するとしてもマスクしていればいいし。たしかに。
さて、本日の読書。今日はずっとサガンの本を読んでいた。何度も何度も読んだのに、何度読んでも新しい。
『愛と同じくらい孤独』と『愛という名の孤独』。どちらもインタビュー集。
とくに今日は「書く」ということについての箇所に、何度もサガンの声を聞いたように思った。私に向けて、彼女が言っているように、そんなふうに読んでいた。
作家の何にまず敏感ですか?
という質問に対して。
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その『声』です。声を持っている作家がいるのです。それは一行目から聞えてくるもので、話をしている人の声みたいなものです。いちばん大切なものだとわたしは思います。声、あるいはトーンと呼んでもけっこうです。
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文章ついて。文学について。
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きれいな文章を書くのは誰にでもできるものではありません。人は言葉に対して情熱がないようです。ですからそういう人の書くものはたいていひどく退屈なものか、つまらなくて平凡なものになってしまうのです。
(略)
本当の文学はとにかく作者の才能でしょう!
皆に共通した言葉を、しかし作家はそれらを独特のやり方で組み合わせることによって人を惹きつける力をもたせ、そうすることに喜びを感じる作者に読者が魅惑され、惹きつけられるのが本来の姿です。
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書く行為を定義するとしたら?
という質問に対しての答え。
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すでに知っていることを創造すること……。自分の知性や記憶、心、好み、直感などの弱さをすべて寄せ集めること、武器であるかのように……。そして、「無」、つまり想像力が絶えず提供してくれる白紙に、それらが襲いかかるようにすること。
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すでに知っていることを創造すること。なんども声に出して言ってみた。口にすればするほどに、書くということ行為を前に姿勢を正す、そんな感覚になった。
『サガンという生き方』の出版は2010年の秋。
「あとがき」のラスト。
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サガンにとっての孤独をいま考えています。そしてサガンと同じように孤独におびえる私に、孤独を感じないでいられる瞬間をもたらしてくれる大切なひとたちのことを、ひとりひとり想っています。そのひとたちに本書を捧げます。
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個人名を出したかったのだけど出せなかった。
軽井沢時代。
出版記念に軽井沢の「睡鳩荘」でトークイベントを開催した。
軽井沢でのトークイベントの様子、ユーチューブにあります。その昔、どんなふうにアップしたのか全部忘れてしまって、自分のチャンネルに移行できません。(誰か方法をご存知だったら教えてください!)
サガンを語る44歳の私。「山口路子文学カフェ」冒頭の10分。こちらです。
毎日の平均時間、この日記を書くのに費やす平均、2時間半。のろいのかなあ、私。