ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

◎19本目 「ラ・ピラート」

Bunkamuraオーチャードホールにて開催されたジェーン・バーキン「バーキン ゲンズブール ザ・シンフォニック」へ行ってきた路子さん。
私もラジオで情報を得ていたものの、行けなかったので少し後悔。
でも私は娘のシャルロット派だからいいもん。
ジェーン・バーキン1本目は女海賊や略奪する女を意味する「ラ・ピラート」



り:私、ちょっと寝ちゃった。

み:私、頑張って寝なかった。

り:全然共感も出来ないし。

み:共感も出来ない、意味不明だわ、怒鳴ってばかりでうるさいわ。まあクレイジーだっていうのは良いのだけれど。

り:でもそれが逆に皆芋っぽく見えてしまう。

み:演技もオーバーアクションが多くて、舞台を観ている様な感じ。

り:バーキンの走り方も変!って思って。

み:レズビアンシーンも別に性的な事を何もしていないのに、ハッ!とかしたりして。

り:全然綺麗じゃない。

み:でも映像的には色彩や暗い所の。

り:影とか。

み:そうそう。そのあたりは美しいなって思った。バーキンの事をとても綺麗で美しくて素晴らしいと思っている監督が作ったプロモーションビデオみたい。

り:何か似ているような場面観た事あるなって思っていたら、同じ監督でした。

み:何ていう映画?

り:「ラブバトル」。その映画も言い争ってる。

み:名前からして「ラブバトル」だものね。「ラ・ピラート」は何か受賞していたような気がする。

り:第37回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作。その時はブーイングを受けて受賞も逃したみたいです。でもフランス公開では高評価で、アルマ役のバーキンがセザール賞の主演女優賞、キャロル役のマルーシュカ・デートメルスが助演女優賞にノミネートされて、子ども役のロール・マルサックが有望若手女優賞を受賞したんですって。

み:良い評価でしょう?

り:ほわーん。特にこの映画を観たパトリス・シェローはジェーンの演技に感銘を受け、彼女を舞台「贋の侍女」のヒロインに起用し、舞台デビューさせたって書いてあります。あの演技だったから舞台なんですね。舞台の感じだったから。

み:私達は間違っていなかったのね。

り:でもあんまりジェーンの映画って思い浮かばない。

み:一般的にはね。観ようと思うとごっそり出てくる。セルジュ・ゲンズブールとのとかね。

り:そのあたりですよね。昔のはちょっと知られてるけれど、そんなには。

み:そうね。

り:私はバーキンがフランス映画祭の団長で来た時に、1本観たかな。

(この年の映画祭レッドカーペットで、私はバーキンにサインを貰いました。その時に私のマッキーを持って行ってしまったバーキン。映画祭オープニング時の舞台袖で、蓋の無いマッキーを持ったまま立っているバーキンがいたとかいないとか。)

り:「テルマ、ルイーズ・エ・シャンタル」っていうのかな?

み:それ日本で一般公開されてないのよね? 60歳になって恋をする女の人の話。2人娘が出ている映画もあるのよね。「カンフーマスター」っていう映画。それは日本で公開されたみたい。


り:途中で路子さんが「面白い? 最後までこれでいくのかしら?」聞いてきた時は私ももう退屈している時で、「おっ? 観るの止めるかな?」って思ったんですよ。

み:私もどうしようかなとは思ったのよ。バーキンでは無かったら「止めない?」って言っていたかもしれない。それにしても酷い。

り:日本での評価はどうだったんですかね。いわゆる映画好きの人の感想とか評価高いのかな。私、最後の船のシーン、ちょっと笑っちゃった。

み:特にどこ?

り:船の上で皆でじゃれ合っている所。

み:じゃれ合ったり、下行ったり、上行ったり。何でそんなに船室に戻ったり、甲板に出たりするんだろうってね。

り:出たり入ったり、出たり入ったり。倒された時に風が強いせいで、またおっぴろげになってしまっていたり。

み:芝居がかったのが好きな人達が集まって、恋愛ごっこしているって感じなのかしら。

り:主な3人は分かるけれど、特に子どもの存在が分からない。

み:あの子どもが多分謎めいている存在で、あれが文学的なのかしら。

り:死神的な役割みたいな?

み:ちょっと天使の化身や死神の化身的な存在。

り:運命を左右する者。

み:そうそう。そのあたり全然明かされていないものね。子どもの様にも見えるし、子どもでは無い様にも見える。


み:ジェーンの相手役のマルーシュカ・デートメルスは綺麗だったけど、凄い剛毛ね。

り:(笑) 茂みが凄かった。

み:そこがもうええっ!?ってくらい。凄いわよね?

り:デルタ真っ黒でしたもんね。(笑)

み:ビックリしちゃって。最初何かくっ付けているのかと思ったくらい。それか黒ペンか何かで消してるのかと。そんなに見せる必要があったのかしら。

り:日本では、フランス映画祭の上映時にヌードシーンをフィルムを削るスクラッチ修正で上映したらしいです。

み:「あなたは誰も愛せない」っていうのが何回か出てくる。誰も愛そうとしない。

り:ずっと行ったり来たりの関係ですよね。戻ったり、戻らなかったり。

み:どっち?って思ってしまうわね。本人もどうしたいか分からないから激しくなってしまうし、混乱して「私を撃って」とか言ってしまったりするのよね。だから観てる方も、この人はどっちに行きたいんだろうというのが分からなくて当然なのかもしれない。全員が人間として魅力的では無い。

り:男はどっちも…。

み:好みじゃないし?

り:好みじゃない。

み:やっぱり演技が良くないんだと思う。レズビアンのシーンも、お互いに欲してるとか、そういう事を感じない。嫌がってしている気がする。

り:嘘みたいなのが見え隠れする。

み:そうそう。

り:だから全然入り込めない。

み:「アデル、ブルーは熱い色」みたいに、お互いが相手を欲っしているみたいなものが全然感じられなくて。だから女性とキスするのを躊躇っているなくらいの感じ。

り:妙に人物達が和解し始めたり。

み:一緒にご飯食べに行っちゃうものね。

り:そうそう。急に皆で車に乗って出発するとか、フェリーの中に行くとか。

み:でもそれを言ってしまったら、子どもの存在もあるから、何で?っていうのは無しなのかもしれない。

り:最初の鍵のシーンも。

み:あれはどういう意味? 車のキーだったのよね?

り:私、家の鍵かと思っていました。

み:私も。

り:キャロルが来られるように家の鍵を置いたのかと。

み:うんうん。車だったね。キャロルもアルマを奪いに行ったのに、アルマの旦那に「あなたは戻るのよ」って言うでしょう? じゃあ来なければいいのにって(笑)

り:最終的には連れて行ってしまうし。

み:アルマは死んでないのよね?

り:瀕死の状態に見えましたけど。


み:旦那さんは殺されちゃう。私、この映画の良さが全然分からないわ。賞を獲得したり、評価される理由が。そういうのが分からなくなっちゃっているのかもしれない。

り:いや、分からない。この映画は分からない!!

み:先生そうですか? 私の感性が鈍っているという事では無いでしょうか?

り:だからこそ日本ではジャック・ドワイヨン監督の映画が一般公開されないんじゃないですか? DVD発売だけはありますけど。

み:私も「ポネット」くらい。

り:それは私も存在だけは知っていました。この時代の映画って、こういうのが多いんですか?

み:この時代って80年代?

り:1984年。

み:ヌーヴェル・ヴァーグとかの理解できない所をを引きずってる。理解出来る人にだけ分かれば良いというのと、業界の人達の中でどう評価されるかを意識している感じ。私これ観て、こういうの嫌だー!って思ったもの。愛ゆえの諍いとか泣いたりするのは分かるけれど、この作品は愛なのかな?って思ってしまって。愛が見えなかったの。

り:憎しみみたいなものばっかりが凄い。

み:憎しみすら無い。憎しみって愛と表裏一体だから、まだ憎しみがあれば少しは共感出来たけれど、それすら無く、全員の中で誰一人としてコミュニケーションが取れていない。

り:皆が一方通行。

み:そうそう、一方通行なの。本当にそう。だからちゃんとした会話というものが誰ともなされていない。

り:訳の問題なのかな?とも思ったんですけど、分かる単語とかで拾っていくとそういう訳でもないんですよね。

み:だからそういう映画なのよ。コミュニケーションが存在していない人達の中のもの。

り:例えば、フランス語とかの音のリズムで詩的に喋る事もあるじゃないですか。でもこれはそういう感じでも無い。

み:無いない。アルマがかなり変わっている人という設定で、それに周りが振り回されている感があるのかしら?

り:うん。

み:唯一、このシーンは分かるっていうのは、アルマがナイフを渡された時に、トイレで自分以外の周りを傷つける場面。あのシーンは分かる。あそこは上手いと思った。

り:最後の方ですよね?

み:このナイフで誰を傷つけるという訳では無いけれど、物に当たる感覚とか。でも自分を傷つける勇気も無く、座り込んだ足の間しか刺せない所とか。ああいうのは自分もやった事があるから分かる。

み:皆持て余しているのかしら。空港でずっと待っていたとか情熱的な事も言っているけれど。依存? 旦那さんやキャロルみたいに、何か執着するものがあるって事に生きがいを見出す人達がいる。

り:依存があったとしたら、旦那に対して「あなたは戻るのよ」とか言ったりします?

み:でも結局思い続けている。誰一人としていわゆる一般的なハッピーな形では、本当の満足を得られない人達の物語ではあるわね。平穏になってくると波乱を起こしたくなるみたいな。
オススメはしないわね。

り:まあでも観た人の感想は知りたい。
(ネットにて感想を調べてみた所、評価は半々。かっこいい、ジェーンが魅力的、構図が美しい等の感想もあったが、ストーリーがわからないとの感想も多くあった。)



~今回の映画~
「ラ・ピラート」 1984年 フランス
監督:ジャック・ドワイヨン
出演:ジェーン・バーキン/マルーシュカ・デートメルス/アンドリュー・バーキン/フィリップ・レオタール/ロール・マルサック

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間