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◆生きることへの渇望(アナイスについて中田耕治先生への手紙)

「アナイス・ニンという生き方」というカテゴリーを作った。アナイスについてのいろんなことを、ここにつめてゆきたい。少しずつ、そのための記事もアップしてゆこうと思う。

最初は、中田耕治先生への手紙から。今年発売予定のアナイスのドキュメンタリーDVDに併録する先生のインタビュー。そのための質問を先生にお便りした、2016年6月8日の手紙そのままです。

※写真は1966年にアナイスが来日したときの貴重な写真。中田耕治先生は39歳、アナイスは63歳。

(1)先生がアナイスを「発見」したときのこと、そしてそのときの感想(衝撃?)をお聞きしたいです。

(2)帝国ホテルでアナイス・ニンにお会いになったときこと。

 もちろん、お書きになっているのですが。

■アナイスが来日したとき、ぼくは帝国ホテルで逢った。年齢をまったく感じさせない美しい女性で、口数も多くなかった。ぼくが冗談に、「どうしてあなたはそんなにも美しいのか、その秘訣を教えてください」と問いかけると、アナイスは婉然と(実際、婉然と、という感じだった)微笑しながら、「あら、それはいつも愛しているからよ」と答えた。ぼくは笑ってしまったが、そのとき、ひどく幸福な気分になったことを思い出す。

(『エロス幻論』アナイス・ニンⅢ)。

幸福な気分になった、とおっしゃる先生の感じ方、表現の仕方にまず、うっとりしますが、このときのこと、ずいぶん前の話ですけれど、もうちょっとお聞きしたいです。先生を幸福な気分にしてしまうアナイスについて、もうちょっとだけ教えてください!

■作品集『ガラスの鐘の下で』の第二部「アナイス・ニンについて」でもこのときのことをお書きになっています。

「アナイスをはじめて見たとき、じつに美しい女性だと思った。ただ美貌というだけではなく、女優としての美しさに近いものだが……」

「アナイスの、うっとりさせる(ラヴィッサント)魅力は、いつも男にとって新鮮なものだったのではないかと想像した」

このあたりのこともお聞きしたいのです!

(3)アナイスとほかの作家を区別するものについて。

アナイスの、他の人と自分を区別する力とは?

先生の『エロス幻論』(ロレンスとアナイスとヘンリー・ミラー、ポーノグラフィについての文章をまとめた本)、ロレンスの章の、
「人は自分を他人から、一般の人たちから区別する力をもたなければ!」
が印象的です。アナイスの場合は、何だったのでしょう?

(4)アナイスの最大の主題とは?

『エロス幻論』のアナイス・ニンⅠのなかに、オットー・ランクの言葉が引用されています。

「男はいつも彼の欲求をみたしてくれる女を創造する。そのことが、女を彼女自身に対して真実ならざるものにしてしまう」

 そして、「これがアナイス・ニンの最大の主題」と先生はおっしゃっています。

これについてお聞きしたいです。

(5)アナイスというひとを貫いていた「生きることへの渇望」について。

先生はアナイスが亡くなったときのことをお書きになっていて、そのラストはこんなふうに結ばれています。

「さようなら、アナイス。ぼくはあなたのことはけっして忘れないだろう。そして、不幸なときに、あなたのことを思い出せば、きっと生きることへの渇望がぼくの胸にも宿るだろう。」

「生きることへの渇望」、これがアナイスというひとを貫いていたものだからこそ、先生はこんなふうにお書きになったのでしょうか?

そして先生の「不幸なとき」、もしあったならですけれど、アナイスを思い出して、生きることへの渇望が胸に宿ったことはありましたか?

(6)アナイス・ニンの存在意義について。漠然としていますけれど、1903年から1977年という時代、アナイスがこの世に存在したことについて、先生はどのようにおっしゃるのか、お聞きしたいです。

以上、山口路子からの質問でした。

*この稚拙な質問に対する、作家中田耕治の、圧倒的な、魅力的な、もう、悶絶してしまうほどの「答え」はぜひDVDで。DVD発売のお知らせをお待ちください。(2017年2月20日現在発売日は未定。今年中にはきっと)
インタビューしたときの興奮の様子はこちらからどうぞ

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