ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

◎20本目 「ブエノスアイレス」

1年は続けようと誓った私達ですが、「よいこの映画時間」連載20本目を迎えました。
そんな記念すべき20回目は、タンゴ映画2本目、ウォン・カーウァイ監督の名作「ブエノスアイレス」です。
今回はおまけとして、わたしたちの「重い」恋愛講座付き!

み:私のアルゼンチンタンゴのプレイリストを流しながら話します。

り:私2回目なんですけど。

み:前はいつだったの? 結構前?

り:路子さんと知り合った後だと思う。で、最近ちゃちゃを入れながら台湾人の友人と一緒に観ました。

み:ツッコミ?

り:まあちょいちょいと。台湾では物凄い有名らしくて、だからこそ観てなかったってその人は言ってました。むこうでは芸術性が強いっていう認識があるみたいで、ちょっと難しいとされてるみたい。

み:でも「ラ・ピラート」を観た後だと、「ブエノスアイレス」はちゃんとストーリーがあって解かり易いって思うわね(笑)

り:(笑) 「ブエノスアイレス」も何でこうなるんだろうっていう部分はありますけど、「ラ・ピラート」に比べれば全然!

み:共感も出来るしねっ。「ラ・ピラート」と比べなくても、難しい映画では無いわね。

り:タンゴのシーンはありますが、先日観た「愛されるために、ここにいる」の反対な感じ。あちらはタンゴ=セックスには繋がらないけれど、「ブエノスアイレス」はタンゴ=セックスに繋がる感じ。

み:セックスの延長線上にあるって言っても良いくらいね。

り:うん。タンゴはトニー・レオン演じるファイが働いているバーがタンゴのバーだし、本人達も踊っているけれど、タンゴ映画というよりもオマケ要素ですよね。

み:そうそう、オマケ。ちょっとした小道具。

り:やっぱりフォーカスは男3人。中華料理屋で知り合う3人目の男の人いるじゃないですか。チャン?


み:あの俳優さん何ていう人?

り:チャン・チェンですって。台湾では有名な俳優みたい。

み:ちょっと金城武の雰囲気に似てる。

り:私はあの3人だったら彼が良いなあ。

み:私はトニー。でも金城武も同じくらい好きだから、雰囲気が似ていてこの子も良いなって思った。それでそれで?

り:急にチャンとの話になりますよね? だからレスリー・チャン演じるウィンとの話が置いてけぼりになってしまっているような気がして。

み:それには理由があるのよ。撮影上の理由。

り:ええっ!?

み:メイキングも観たんだけれど、この作品はウォン・カーウァイがノープランのもと、ブエノスアイレスでトニー・レオンとレスリー・チャンの映画を撮るっていうだけで行っているみたいなの。だから全然撮影が進まなくて、ああでもないこうでもないって言っているうちに撮影期間も延びて、レスリー・チャンが他の仕事の関係で帰っちゃったんですって。レスリー・チャンがいない状態での中考えて、それで第三者を出したの。

り:そんな理由なんですか?

み:私も最初観た時に、ウィンは何処に行っちゃったんだ―?って思った。まあ、レスリー・チャンとトニー・レオンの映画なのに、これじゃダメだっていう焦りの雰囲気はあった。だけど発想の転換で違う人を出してくる事によって、トニー・レオンを中心とした人間関係の物語に持って行ったんじゃないかしら。

り:チャンとのシーンで、ファイが泣きながらカセットに録音するシーンが凄く好き。


み:作家にしても監督にしても、同じようなエピソードが出てくるんだなって思った。金城武が出演している「天使の涙」か「恋する惑星」だと思うんだけど、その時は買ったばかりのホームビデオ。それで父親を映しているっていうシーンがあって、それとカセットが重なった。あとは世界の果ての灯台に行って自分の苦しみをそこで吐き出すと無くなるっていうのと、「花様年華」で木に穴を開けてそこに秘密を話すと良いっていうのが重なった。「花様年華」については最近ブログでも書いたわ。こういうのって玄人っぽい意見よね。嫌なのよ比べて言うの。なのに自分で言っちゃってる。男同士の愛情世界っていう部分から見て、描き方はどう?

り:性欲がっていうのも、他の男にいくっていうのもよくある話かもしれません。

み:違和感は無かった? 監督自身もゲイなのよね、たしか。男同士なんだけどレスリー・チャンが悪女というか。

り:そういう役多いですよね? 私が観たのがたまたまそういう役柄ばっかりだったからかもしれないけど。ちょっと短気でわあっていって、相手の男を困らせるみたいな役。

み:男を翻弄する女。

り:ファム・ファタール。

み:そう。それを男と女の恋愛におけるファム・ファタール的な女以上に、レスリー・チャンのウィンが小悪魔ちゃんというか悪魔ちゃんに見える。いるよねーこういうのっていう感じで、ジェラシーを感じる程に魅力的だった。だってファイが翻弄されているもの。パスポートを隠してしまったりして。他の男と会ってるんじゃないかって疑って、煙草を買いに行かせないようにどっさり買ってきたり。当たり前だけれど、性別なんて関係ない、そこには恋愛の悦びと苦しみがぎっちり詰まってると思った。ゲイの人達って浮気は公認的みたいに聞くんだけど。

り:人によりますよ。

み:やっぱりそれは人それぞれなのね。

り:そういうのが多いかな?って。

み:でも多いのね。男女の恋愛におけるよりは。

り:多いような気はしますが…。

み:ファイは許さない感じね。やきもち焼いたり。

り:そうやってわあって離れても、結局「やり直そう」の一言で許してしまう。

み:惚れた弱みってやつね。

り:やだー。本当に。それこそ負けた感じがするってやつですよ!
(また映画前に恋愛話をしていた私達。それに関連した一言。)

み:あっはは!(笑) まあねえ。

り:相手が優位に感じてしまうというか、結局逆らえなくなってしまう。負けた感じ! 勝ち負けでは無いんですけどね。

み:そう。そんな事言っているうちは愛を語っちゃいけないとか言うけれど、でもやっぱりあるわよね。優位に立ちたいとか。そういえば、私が大好きな中山可穂が映画のエッセイを2本書いているんだけど、それが「ブエノスアイレス」と「花様年華」だったの。「ブエノスアイレス」は何度も観る映画の一つみたいで、その当時の恋人と初めて一緒に観に行った映画でもあるんだって。そのエッセイのタイトルが「もう一度だけやり直そう」。さっきりきちゃんが言っていた部分ね。


み:自分の彼女にあの二人はまた巡り合ってやり直すかって聞かれた時に、やり直すわけがないって断言したんですって。彼女はそれに対して、やり直してほしい、あのままだとレスリー・チャンが可哀そう過ぎるって言ったのだけれども、中山可穂は、そうはいかないよ。恋はいつか必ず終わる。終わるから美しいんだ。美しいから映画になるんだ。って言ったって書いてある。

り:路子さんはどうです? 3人目に気持ちが向いている状態で、再び会いました。やり直そうって言われたらやり直しますか?

み:恋人としての関係が復活するとは思わないけれど、時間をおいて3回くらい寝るかもしれない。その後時間を空けて、その後は会わないと思う。

り:宙ぶらりんな?

み:その時の状況や体調にもよるけれど、あのウィンが心を入れ替えた風に戻ってきて、やり直そうって言ってきたら、ふらっと行ってしまうんじゃない? 人間そんなに強くないもの。ウィンが怪我をして戻ってきた時も絶対拒否して一緒に寝なかったけれど、あれって自分の中で誘惑されたらアウトだって思ってるから。良いや、1回くらい寝たって大した事ないっていう相手では無い。だから頑なに防備している。そこがまだ全然終わっていない感満載なのよね。

り:その後にタンゴを踊るんですよね。あんなに拒否していたのに、タンゴを踊った事でコロッとまたウィンとやり直してしまってる。ウィンが真面目な感じでまた言ってきてやり直したとしても、同じ事を繰り返すような気がする。


み:そうそう繰り返す。繰り返すのが分かっているから拒否するんだけれど、気持ちがあれば人間だから何らかのタイミングで拒否出来ない瞬間もあるはず。だから3回くらい寝ちゃうんじゃない?っていうのはそういう事なの。

り:この間職場の人がこんな言葉を教えてくれたんです。「ダメな人にひっかかるのは、ダメな自分が許されるから。」って。

み:それ何? 映画の台詞? 自分の言葉?

り:前に読んだBL漫画に書いてあったんですって。

み:そうなんだ。名言ね。次の私の名言集に入れよう。そうなのよ。

り:この2人もそういう感じがあるのかなって。ファイも自分がちゃんとしてるとは思ってない。お父さんの友達の会社で働いていたけれど、金を盗んだとか。後悔があってか、お父さんに電話をするけど、あまり良い反応では無かったから切ってしまったり。だから自分のダメな所を分かっている感じはするんですよね。

み:そうね。ダメな自分が許されるからかあ。ダメな人っていうのは、恋愛が終わった頃に気付くでしょう?

り:その時は見えないですもんね。要素はあったとしても、それすらフィルターがかかってしまうぐらい盲目になってしまう。

み:うん、確かに言えてる。私は自分のある恋愛を今思い出して、正にそれだったなって思った。「ブエノスアイレス」が名作だって言われているのはどう思う?

り:うーん。

み:あまりぱっとしてないでしょう? 良かったですーって感じでは無いものね。

り:うーん。良い映画ではあるんですけど、何かが引っ掛かってるんですよ。もやもやと。音楽も凄く好きですし。何回か同じ曲が使われていますけど、それも頭に残りますよね。

み:まあ音楽とか映像はさすがウォン・カーウァイという感じだけど、やっぱりレスリー・チャンが途中でいなくなっちゃったのが大きいんじゃないかしら?

り:話が突然飛んでしまったから?

み:監督がしっかりとしたシナリオで撮影期間内で終えていればもっと違うストーリーになったと思うし、あの2人の関係も違ったものになっていたかも。

り:3人になるっていうのは全然良いんですけど、急にすっぽり話が抜けて、間の説明も無く中華料理屋の人良いなって思ったり、写真とか盗んじゃったりしてるから。多分しっくりきてない部分はあるのかも。
(と言いつつよく考えてみると、私はゲイ関連の作品に触れるとなんだかモヤモヤとした気持ちになるらしい。よしながふみの「きのう何食べた?」を読んだ後、姉に「それ読んだ後いつももやっとした顔をしている」と言われた事がある。それに近い感覚なのだろうか。近いからこそしっくりこないというか。しっくりき過ぎているというか。)


み:最初からいきなりラブシーンで始まるけれど、あれをよーく観ているとレスリー・チャンはなりきってるけど、トニー・レオンはいまいち乗ってないわよね。「ラストコーション」とかは。

り:色っぽい。

み:うん。欲望が見える。でもこちらは、男好きじゃないしみたいなのがある感じがした。

り:それを隠すためにブリーフを穿いたとか?

み:(笑) レスリー・チャンはゲイなの?

り:うーん、わからないですけど、「さらば、わが愛 覇王別姫」もそういう役柄でしたよね。こういう役が上手い。男です!って役をむしろ観た事が無いので、何とも言えないですが。

み:中山可穂は映画に出てきたタンゴバーにも行ってるんだって。

り:観光で皆が立ち寄ってる所ですよね?

み:そうそう。映画の撮影場所だから行ってみたかったって。よっぽど好きな映画なのね。イグアスの滝にも行ってる。

り:あそこって、あんなにびっしょびしょになるんですか?

み:なるんじゃないかしら? ナイアガラもそうだし。

り:あそこで死んだらあっという間でしょうね。あの滝のシーンでそんな事ばっかり考えちゃった。

み:いるみたいよ。その事も中山可穂が書いてる。そうとう激しいみたい。

り:あんなに勢いが凄いと、地の果てに繋がってるんじゃないかって思いますよね。

み:ファイがイグアスの滝に一人で行くっていうあたりが、まだ未練なのよね。

り:うん、完全に断ち切っていたら行かないですよね。行ってないけれど思い出の地みたいな場所だから行った感じ。

み:それか別の人と観光で行くっていうのも考えられるけれど、一人で行くっていう所にまだまだ。

り:引っ掛かりが。

み:愛憎、諍い、好きだからこそ束縛したいとか、ああいうのは切ない。


り:ちょっと分かるなっていう部分は、別れた後にゲイの人が集まる映画館でファイがそこで出会った人に口でされるシーン。

み:それは私も何となくわかる。

り:何て言えばいいんだろう…。違う事で解消したい?

み:失恋の傷…男によって付けれらた傷は、男でしか癒せないというものの自虐版。新しく愛する人では無くて、愛が無い性を処理するって事だから、そこには自虐とか自傷行為的な意味合いが入ってるって事じゃないかしら? その感覚は分かる。好きでもない男に抱かれる事によって忘れたいとか。自分の身体や心までをも塗り替えたいみたいな。

り:結局思い出すんですよね。

み:そうそう、逆効果なの。だってそれをする事によって。

り:走馬燈の様に。

み:(笑) そうそうそう思い出しちゃうの。だったらよっぽどフィットネスクラブに行っていた方が健康的よ。

り:でもやっちゃう。

み:同じ事でしか解消出来ない気がしちゃうのよね。でもやってみると逆効果。仮にそうだったとしても、自分を痛めつける事によって少しでも相手を失った苦しみから逃れてる。だから本当にそれを表す様な場面ね。


み:やっぱりウィンが可哀そうなの?

り:まあウィンが可哀そうって言うのも分かる。異国の地でパスポートも取り上げられ、男にも見放され、連絡も取れなくなりで。

み:可哀そうだけれど、でもああいう人ってなんだかんだ。

り:順応する?

み:そうそう。魅力があるから、誰かがいつも面倒を見てくれて何とかなっちゃうっていうタイプ。でもいつも徹底的に誰かに愛されたいという孤独は分かるなあ。

り:意外と白人の人をまた捕まえて。

み:そうそう。最後ファイは一つの恋愛を清算したようにスッキリした感じにはなっているのよね。本当の愛って自由にする事だとか、思いやりを持てだとか言うけれど、あれが現実って感じがする。あれがあってこその恋愛の醍醐味でしょうって思う。ああいうのが無いと実感が湧かない。勝ったの負けたのないとね(笑) メールをどっちが送っただの、返ってこないこと悶々とするのも含めてね。仏様やお釈迦様みたいに超然としていた所で何が面白いの?って感じがする。「ブエノスアイレス」を観直して、自分が最近綺麗事を一生懸命やろうとしているんじゃないかって気がしたわね。

り:そう思うと、今の自分にはとても合っている作品だったかも。

み:うん、そうよ。りきちゃんはね。


(映画の話から脱線。このまま話題は恋愛の話へ。テーマは「わたしたちの重さ」について。)

み:どんなにセーブしたってしなくたって、なるようにしかならないんだもの。別れるものは別れるし、くっつくものはくっつく。自分が優位に立つために少し冷めたフリをしていても、それは演技でしょう? 実際の自分では無い。だから本当にその相手と向き合いたいのなら、それをやっている意味は無いわよね。

り:結局作った自分を見せている事になりますからね。

み:そう。いつまでそれやるの? いつバラすの?ってなるでしょう?

り:それをやってしまうと、自分が苦しくなってしまうんですよね。

み:自分が出せなくて、出し始めたら相手が違う!ってなってしまう。本当の私は好きになってくれないの?ってなった時、そういう風に最初見せなかったでしょ?って言われちゃう。私も演技をしていた時があるの。今迄は最初に自分を見せて、それでも良いっていう人と付き合っていたの。こういう私でオッケーじゃなければ、これ以上踏み込みませんよというやり方だった。それでも良いよって言ってくれる人ではないと、結局付き合えないし。

り:私は恋愛じゃない所だと、割とそんな感じなんです。交友関係とかでは、わあーっと出して、こういう人なんですって。ある意味そこで一回壁を作る。

み:恋愛になると。

り:何故かそうはいかない。ちょっと曲がってしまうし、変な心配をしてしまう。


み:前に私の事を好きって言ってくれた男性に、「私は常に10人の男が居ないとダメなんですけど良いですか?」って言った事がある。後から、あれって普通ドン引きするよねって言われた(笑) 10人もいないけれど、誇大広告みたいな感じかしら。1人じゃ満足出来ない。1対1で貞節を誓う恋愛は出来ませんよって実際以上に悪く言って、オッケーだったらいけるかな?っていうのが自分の中にあったのだと思う。割と順調だった恋愛とかが、色々な事で躓いて、痛い思いをしてきているから。今迄のやり方で失敗した訳だから(笑)

り:学びが出来てしまうからですかね?

み:学びだったら良いけれど、トラウマになっちゃうっていうのが。

み・り:怖い!

み:りきちゃんと私が合うのは、とにかく「重い」と思われるのが最大の怖さなの!

り:(笑)

み:「軽井沢夫人」に出てくる私の友人とも、とにかく重いと思われないようにそれだけは気をつけなきゃと言い合ってる。隠しておかなきゃっていうのがある。特に私達の場合はスタートが重いから、スタートは緩やかにっていうのが目標。こいつちょっと重い?って思われるのが凄く嫌で連絡を控えたりするけれど、結局それを控えた所で、じゃあ凄く愛されるのかって言ったら違うでしょう? 自分のやりたいようにやって、重いと思われたらその人とはダメなのよ。だってこれから関係性を築いていくのであれば、この程度で重いと思われたら絶対にこの関係性は続かないのだから。それならやっちゃって、それでダメだっていうのを早めに判断した方が良いんだ…って今喋りながら思った(笑)

り:頭では理解出来るんですけど、過去のトラウマがあまりにも引っ掛かり過ぎていて。だって自分がゲイの世界に踏み込んでから割と初期の段階での事だったので、10年以上引きずってるんですよ。だから毎回自問する。重くないかな?って。

み:(笑) でもね、ごめん、重いのよ!

り:(爆笑)

み:悪いけれど、私達は重い。一般的な人達に比べると、いるだけで重いの。今ちょっと久しぶりに自分で納得する答えを自分で言っているような気がする。もう存在自体が重いの。もし私達が恋愛になったとして、今は知っているけれどまだ付き合い始めだったら同じ匂いを感じるもの。それで重いんじゃない?って思って、どっちが重いかな競争するぐらいに重いと思う。私達は恋愛で誰かに向き合った時にする妄想とか、勝手に先走ってしまう事だったり、毎日逢いたいあいたいって思う事があるけれど、そうじゃない人達も世の中にはいる。相対評価としていけば、私達は確実にトップレベルにいると思う。元々そこにいるのだから、それをいくら隠したっていつか出るわよ。

り:あっははは(笑)

み:だから相手を見つけたいのであれば、そこを隠さずに出して、重いって思われる判断は早い方が良いかなって気がしてきた!! だって駆け引きっていってそこで我慢をしても…。

り:それで乗ってきたら良いんですもんね?

み:それで乗ってくる相手としか上手くいかないわよ。表面上の付き合いとか、軽い相手を見付けるのであればそれでも良いけれど、がっぷりと付き合いたい相手を探しているのであれば、隠していても意味は無い。良い事言ったな、自分に対して。あなたは誰を探して、何を求めてるの?って事よ。


り:逆って大丈夫ですか?

み:好きな人ならね。だからそれよ! 好きな人だったら私はいくら想われてもアナイスと一緒で、とにかく「温度計が破裂する程のセックスとか、郵便箱から溢れるくらいの手紙」が欲しい訳だから。

り:何だか最近よく分からなくなってきちゃった。

み:それをされて心地が良いと思う相手とは本当に上手くいく。物足りないのがダメな訳だから、それなら過剰な方が良い。過剰で、一度で良いから貴方からの愛がいっぱい過ぎますって言って吐いてみたいとずっと思っていたから。でも私が求める愛情が余りにも多大な物ですから、中々そこまで満たしてくれる人はいない。じーっと連絡を待つより、いやんそんなにたくさんもらっても返事出来ない、って思える方が良い。

り:一日に何度携帯を見る事か。

み:何を求めているかよね。りきちゃんも重たいんだから諦めなさいな。重たくても良いと思ってくれる相手を探す。そういう人はそんなにいないはずなのよ。そこら中に転がっていたら身が持たない。でも結局「重い」って何なのかしらね? りきちゃんはトラウマの人からずばり重いって言われたの?

り:自分が相手にいっぱい連絡をして、寂しいとか言っていたんです。それを本人からではなく、違う人を通して「そんな事言われると困る」みたいに言われて。

み:やだー本当に?? それは傷付くわね。可哀想。

り:しかもその子は、その当時彼を好きだった子。女の子と取り合いまではいかないけれど、同じ人を好きで。

み:もしかしたらそれはフィルターかかっていたのかもよ? 本人から言われたらそれ以上の事は無いけれど、言い方や言い回しで随分違うから。例えば、「寂しいっていうメールが結構来るんだよねー。たまに何て言えば良いか困っちゃうんだよね。」って私が言ったのを、違う人が「路子さんちょっと困ってましたよ?」って言うのはちょっと違う感じでしょう?

り:たしかに。でもそこで自分は重いんだって気付いた。初めての自覚。

み:私はそういう自覚凄くあるけれどね。何でもっと冷静になれないんだろうって思う時も。それで、相手が同じテンションで来ないとそれだけで落ち込んじゃう。

り:温度差があるんですよね。

み:私達は愛されたいとか愛したいとかの欲望を沢山持っていると思うの。だからそれを重いと表現されて逃げられたら、それはそれまでよ。だってそこでりきちゃんが寂しいっていうメールを5回から1回に減らした所でいつかはバレる。

り:使わないようにしている単語リストの一つ。「寂しい」。あとは「頑張って」。でも結局似たような事言っちゃうんですよね。



~今回の映画~
「ブエノスアイレス」 1997年 香港/日本
監督:ウォン・カーウァイ
出演:レスリー・チャン/トニー・レオン/チャン・チェン/

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間